地方公務員の仕事にやりがいはあるのか知りたい。
こんな方に役立つ情報を紹介します。
利益追求を目的とする民間企業の場合、仕事で成果を挙げれば会社の利益につながります。
人事査定で良い評価を受けて給料もアップ、そんな時に仕事のやりがいを感じる方も多いのではないでしょうか。
活動資金は税金なので成果を出そうが給料にはそれほど影響もなし(税金で職員間で大きく給料差をつけられない)。
仕事自体も淡々とこなすイメージで地味に見えます。
では地方公務員の仕事にはやりがいはないのでしょうか。
地方公務員は成果主義ではない(=成果を出した時、目標を達成した時にやりがいを感じづらい)ですが、民間企業とは違う観点でやりがいを感じることができます。
この記事では地方公務員ならではのやりがいについて、実際に民間企業と地方公務員の両方を経験した夫が感じたことを紹介します。
・地方公務員のやりがいを知りたい人。
・地方公務員を目指していて志望動機の参考にしたい人。
地方公務員のやりがい
地方公務員の仕事を経験した私の夫が感じた6つのやりがいは以下のとおり。
・仕事の結果が目に見える。
・いろいろな仕事ができる。
・自分の提案が事業化する。
・市民から感謝される。
・イベントをやりきる。
・目玉事業に携わることがある。
地方公務員のやりがい①「仕事の結果が目に見える」
地方公務員は仕事でやったことが日常生活で目に見えて実感できます。
なぜなら市民へわかりやすく伝えるため、目に見えるかたちでアピールすることが多いからです。
例えば何かしらの普及啓発を行う場合、市政テレビ番組を使って市民へ周知をすることがあります。
また例えば、市民に利用してもらうアプリを開発したとします。
すると自分が携わったアプリがAppStoreやGooglePlayで検索すると出てくるわけです。
役所が作るアプリはどんなアプリ?
例えば「子育て支援アプリ」で子育てに役立つ情報や施設情報、クーポンを配信するなど。
アプリ開発といっても役所の人間ができるのは内容の企画まで。システム開発は業務委託で行います。
他にも市の広報誌・ウェブサイトへの掲載、イベント開催、チラシ配布、広告掲出など、啓発効果はどうあれカタチとして残ります。
仕事の結果が自分でも目に見えて実感できるので、やりがいは感じやすいです。
地方公務員のやりがい②「いろいろな仕事ができる」
地方公務員は3年ほどで異動があり、分野の違ういろいろな仕事に携わることができます。
例えば経済産業局(経済や産業の発展を図る、エネルギー施策を管轄する部門)に属していたとします。
経済産業局内の仕事を見ても
・企業誘致
・次世代産業イノベーション
・観光事業
・農業振興
・総務
など部署により業務内容は様々です。
同じ仕事をずっと続けたい人もいるかとは思いますが、いろいろな仕事に携わるのが地方公務員の特徴です。
市役所や県庁は多くの局(部門)から構成されます。
異動は局内での異動が多いですが、局外に異動することもあります。(事情は自治体の規模により変わるかもしれません)
局と仕事内容の例
・総務局「条例や規則、人事、人材育成など」
・財政局「予算編成、執行管理、税務など」
・健康福祉局「福祉体制整備、高齢者支援、献血促進など」
・教育委員会「学校整備、学級編成など」
民間企業では入社後同じ分野の仕事を退職まで続けることも多いかと思います。特定の分野に特化したスペシャリストのイメージです。
一方、地方公務員は幅広い分野に対応しうるゼネラリストのイメージです。
いろいろな分野の仕事ができることは地方公務員のやりがいともいえます。
地方公務員のやりがい③「自分の提案が事業化する」
自分が提案が自治体の事業として採用された時にもやりがいを感じます。
自治体は市民がより良い暮らしができるよう、毎年新しい事業を立ち上げ実施しています。
例えば
・市役所の電子化を促進するため電子承認システムの構築
・働き方改革を促進するため優れた取り組みをする中小事業者の認定制度の実施
・電気自動車の導入を拡大するため補助金制度の実施
など。
新しい事業は実践価値、費用対効果など厳しい審査を受けて認められなければならず、簡単にはできません。
例えば夫の市役所では課で提案にこぎつけるのが5事業ほど、そのうち採用されるのは1,2事業ほどです。
ハードルがかなり高い中で、自分の提案が自治体の事業として採用されて予算がつく。これはかなりのやりがいといえます。
さらに実際に自分で事業を実践し、完了まで携わって計画通りの事業効果まで確認できればやりがいはより大きくなります。
地方公務員のやりがい④「市民から感謝される」
市役所の場合は地域密着型の仕事が多く、市民と関わる機会も多いです。
対応した市民から感謝された時もやりがいを感じます。
元々感謝をされたくて仕事をやるわけではないですが(公務員の仕事は人や社会への奉仕が前提なので)、結果的に感謝されると嬉しいものです。
感謝されるタイミングは以下のときです。
・電話やメールの問い合わせに回答したとき。
・イベントで来場者対応や質問に答えたとき。
・子育て支援などの相談対応をしたとき。
・予防接種や避難所で従事したとき。
など。
職員としては当然のことをするだけですが、市民によってはそれさえも感謝してくれます。
こういった経験も市民と密に関わる地方公務員の仕事ならではと思います。
地方公務員のやりがい⑤「イベントをやりきる」
イベントの開催もしくはイベントの出展をやりきった時にも、その達成感からやりがいを感じます。
イベントに向けては早ければ前年度から企画や予算取りにはじまり、事業者や職員と何度も打ち合わせをします。
他にも以下のとおり、やるべきことは多岐にわたり労力も大きいです。
・他部署や地域団体との連携(打ち合わせやとりまとめ)
・広報
・当日のスケジューリング
・物品準備、レイアウト検討
そのぶん、イベントをやりきった後の達成感は大きいです。
こちらもイベントを多く実施する地方公務員ならではのやりがいです。
地方公務員のやりがい⑥「目玉事業に携わることがある」
自治体の仕事は規模の大きいものから小さいもの、注目されやすいものされにくいものまでピンきりです。
その自治体の目玉事業ともいえる事業に携わったときは、それだけでやりがいを感じることができます。
職場内や市民、報道機関が注目するような事業に携わるのは誇らしいですよね。
・スポーツチームと連携したまちおこし事業
・テレワーク促進のシステム構築事業
・リニア開通に向けたまちづくり事業
など。
ただ、こういった事業に携われるかは運次第のところもあります。
やりがいを感じるばかりではない
地方公務員の仕事すべてがやりがいを感じるわけではありません。反例についても簡単に紹介します。
担当業務によってはやりがいを感じづらい
先述のとおり地方公務員の仕事内容はピンきりなので、仕事によってはやりがいを感じづらいこともあります。
そのような仕事は与えられたことを淡々とこなすので、やりがいを感じづらいかもしれません。
ただそれも捉え方次第です。労務も誰かがやらねば組織として成立しませんし、経理にしても大きな予算を管理することは一つの醍醐味ともいえます。
やりがいを感じるまでが大変
民間企業、公務員に関わらずどんな仕事でもいえることですが、やりがいを感じるまでが大変です。
例えば自分の提案が事業化するにしても、そもそもの提案をするまでには以下のような準備が必要です。
・事業内容の企画、計画
・情報収集(国の動き、他都市事例など)
・事業効果の予測
・正確な予算積算
・(連携が必要な場合)他部署や事業者との交渉
など
ここまで準備するのにもそれなりの時間と労力がかかります。
そのうえで局の上層部や財政部門への説明、内容の再検討を経て審査に臨みますが、審査に落ちて事業化とならない場合の方が多いです。
また、イベント開催の場合、規模にもよりますがイベント開催が近づくにつれて激務になります。
他の業務もある中で、イベントに向けてはいろいろと準備が必要で毎晩終電近くになることも。
イベントをやりきった後は達成感はあるとはいえ、開催するまでが大変です(当日もバタバタしてあっという間に時間が過ぎます)。
市民からは苦情や意見もある
市民との対応では感謝されることもあれば、苦情や意見を言われることも多いです。
「役所のやり方が悪い」、「○○はわかりづらい」、「もっとこうするべきだ」など。
もちろん市民の主張がまっとうで役所が見直すべき時もあります。
でも理不尽な言いがかり、着地点がなく延々と続くもの、行政の立場上形式張った対応しかできないものが多いのも実情です。
全てが苦情や意見でないにしても、これらの対応もしなければならないのは地方公務員の宿命といえます。
まとめ
地方公務員はどんな時にやりがいを感じるのかについて実例と反例を紹介しました。以下にまとめます。
【地方公務員のやりがいと感じたこと】
・仕事の結果が目に見える。
・いろいろな仕事ができる。
・自分の提案が事業化する。
・市民から感謝される。
・イベントをやりきる。
・目玉事業に携わることがある。
【やりがいばかりではないこと】
・やりがいを感じづらい仕事もある。
・やりがいを感じるまでが大変。
・市民からは苦情や意見もある。
「仕事の結果が目に見える。」、「いろいろな仕事ができる。」、「市民から感謝される。」あたりは地方公務員の志望動機の参考にもなるかと思います。