・公務員の家庭は貧乏なのか。
・公務員で一馬力でも並の生活はできるのか。
給料は決して高いとはいえない公務員。安定しているとはいえ上記のような家計面が気になるところ。
我が家は「夫が地方公務員、私は専業主婦、幼児の子ども2人」と、まさに公務員一馬力の家庭です。
結論、公務員の家庭は貧乏ではなく並の生活はできます。ただ裕福でもないです。
その理由を一般論と我が家の経験をもとに紹介していきます。
公務員は貧乏でないが裕福でもない
貧乏かどうかは捉え方次第なので一概にはいえませんが、我が家は公務員の一馬力でも貧乏には感じていません。
公務員は並の給料が保証される
公務員は世間一般的に並の給料がもらえます。
なぜなら公務員の給料は民間の給料を参考に決めているから。明らかな安月給にはなりません。
総務省の調査によると公務員の平均給与は以下のとおり。
出典:総務省ウェブサイト「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要」より抜粋
地方公務員なら月収36万円なので、ボーナス4.5か月とすると年収600万円くらいにはなります。平均年齢42.1歳での統計値になりますが、まあまあもらえるイメージです。
私の前職の不動産会社の営業さんや、夫の前職の東証一部の会社では同じ42.1歳では年収1千万円超えも珍しくありませんでした。
公務員の給料は少なくもないが多くもないということです。
給料は少しずつしか上がらない
給料は少しずつしか上がらず年収の増加は1年で10万円くらいです。
なぜなら完全年功序列で仕事の成果もほとんど給料に反映されないから。
通常の年1回の昇給では月給の増加が6~8千円ほど。(給料表で4号給の昇給。金額は自治体、階級、地域手当等に依存します)
成果を出して良い査定をもらった場合でも、通常よりも1~2号給余分に昇給する程度で月収で2千円、年収で3万円多くもらえるだけです。(夫の給料実績より)
しかも良い査定をもらえるのは数年に1回のローテとも聞き、高評価連発はあまり期待できないです。たとえ連発したとしても給料のじり上がりには変わりありません。
年収1千万円も可能、でも到達するのは50代
公務員でも年収1千万円は可能ですが、到達できるとしても50代くらいです。
なぜなら1千万円とするには課長クラスまで昇格が必要で、それにはかなりの年数を要するからです。かつ民間企業と同じく課長クラスになれるのはひと握りです。
公務員での昇格とは、給料表での階級が上がること。階級に対する役職は自治体により変わりますが、例えば1~3級:担当、4~5級:係長、6級:課長、7級:部長といったイメージです。
ちなみに昇格すると月収が2~3万円増え、年収は30万円ほどアップします。
出典:総務省ウェブサイト「地方公務員の給料表の仕組み」より抜粋
昇格するには昇任試験を受けて合格する、同じ階級で何年も働くなど条件は厳しいです。昇任試験を受ける資格を得るのにも数年働く必要があり、とにかく年数がかかります。
そして転職組はより不利になります。民間経験年数は公務員としては少なめに換算される、また昇任するための条件(公務員としての経験年数など)も生え抜きの職員と変わらないからです。
課長が無理なら係長でも残業で稼ぐという手もありますが、残業が多いかは部署次第、また疲弊もしますのであまりおすすめできません。
公務員家庭の家計事情 〜一馬力の我が家の場合〜
それでは実際に公務員の家計事情がどんな感じか簡単に紹介していきます。
並の生活は可能だが贅沢はできない
公務員一馬力でも並の生活はできます。でも、贅沢するほどの余裕はありません。
30代公務員、年収500万円台の我が家で「できるこ」、「できないこと」を一例として紹介します。
例えば下記はできます。
・家を買う。
・車を持つ。
・子どもに習い事をさせる。
・学資保険を積み立てる。
・月に1〜2回外食する。(フードコート以外で)
・年に1〜2回近場で旅行する。
一方で下記はできません。
・年に何度も旅行する、海外旅行をする。
・高級家電を買う。(必需品以外で例えば衣類乾燥機、お掃除ロボットなど)
・数年で車を買い替える。
・投資をする。
今は子どもが小さいのでなんとかなっていますが、大きくなるとなかなかきついと思います。
夫の市役所でも、夫:公務員、妻:専業主婦の家庭では、子どもが小学生になると妻がパートを始めるパターンが多いようです。
節約や節税には力を入れる
家計で絞れるところは絞るため、節約や節税に力を入れています。
といってもストイックにではなく可能な範囲でやる程度で以下のようなもの。
・ふるさと納税 → 返礼品にお米やお肉を選び食費を年2万円節約
・スマホを格安SIM → 3大キャリアから切り替え年12万円節約
・格安スーパーの利用 → 近所のスーパーから切り替え食費を2割節約
・底値リストの作成 → 日用品を安いタイミングで買う習慣づけ
・楽天経済圏 → 衣服やおもちゃなど数千円超えの買い物は楽天で買ってポイント還元
・iDeCoの活用 → 月5千円積み立てつつ年1万円節税(年6万円が所得税(10%)・住民税(10%)から控除)
また、家計簿で支出を見える化するのも家計改善に効果的です。
公務員になるうえで少しでも年収を上げるためのポイント
給料はなかなか渋い公務員ですが、少しでも年収を上げるためのポイントを紹介します。
地域手当が多い自治体を選ぶ
公務員も民間と同様、地域手当がもらえます。地域手当の支給率は自治体により変動するため、支給率が多い自治体を選ぶと給与も上がります。
地域手当とは、勤務地によって生じる物価等の支出の差を埋めるための手当。
公務員の場合「給料+扶養手当」に対して0〜20%付与で変動し、例えば国家公務員の地域手当支給率は下記のとおり。地方公務員もこれに準じます。
出典:人事院ウェブサイト「国家公務員の諸手当の概要」より抜粋
「給料+扶養手当」が30万円の場合、地域手当10%なら3万円が支給されます。ボーナスにも反映されるため、年収にすると約50万円にもなります。(「月給12か月+ボーナス4か月」×3万円)
なので自治体を選ぶうえでは地域手当が高いところを狙うのがおすすめです。
物価等に依存するとはいえ、同じような物価の地域でも自治体により変動するので受験前にはよく調べましょう。
大規模な自治体を選ぶ
大規模な自治体ほど給料は高い傾向にあります。
例えば下記の統計では同じ神奈川県、同じくらいの年齢でも自治体により最大6万円の月給差があります。
出典:総務省ウェブサイト「給与・定員等の調査結果等」の資料をもとに加工
大都市ほど仕事が忙しい可能性はあるものの、忙しさは部署にも依存するので、給与のために大都市を選ぶのも一つの手です。
なるべく早く公務員になる
公務員の昇給は年功序列=公務員年数が長いほど給料が上がります。なので公務員になるのなら早くなりましょう。
転職で公務員になる場合も早く転職した方が良いです。なぜなら民間での経験年数は公務員としては割引して換算されるから。
例えば京都市の給与条例を見ると、民間経験年数は下記のとおり80%以下で換算されます。(一般企業では「直接関係があると認められるもの」に該当することはほぼないかと思います。)
出典:京都市職員給与条例施行細則「別表第3(第3条関係)経験年数換算表」
また、中途採用でも担当からのスタートで昇格するのにも何年もかかります。公務員として長く働く覚悟があり、年収を増やしたいと考えるならば、早く公務員になった方がいいです。
まとめ
公務員は貧乏なのかについて以下にまとめます。
・公務員は貧乏でないが裕福でもない。
・並の給料は保証されるが昇給はスロー、年収1千万円に到達するとしても50代。
・一馬力でも節約や節税に力を入れれば並の生活は可能。
・公務員で年収を上げるには地域手当が多い自治体・ 大規模な自治体を選ぶ。なるべく早く公務員になる、
公務員は貧乏でなくとも裕福でもないです。公務員になれば楽な生活ができると考えるのはやめた方がいいでしょう。
でも安定した給料が保証される点は魅力的です。