・具体的にどこが楽なの?
こんな疑問にお答えします。
「安定」、「非競争社会」、「お役所仕事」など、公務員は楽そうなイメージがあります。
実際には公務員も部署や担当業務次第で忙しいこともあり、一概に楽とは言えません。
でも「民間と比べると総じて楽」というのが、民間から公務員に転職した夫の感想です。
実際に公務員のどこが楽なのか、1日の仕事も交えて紹介していきます。
公務員のイメージと実態
公務員のイメージに対して実態はどうなのか。
夫の市役所・行政職での実態を当てはめると下記のとおりです。
公務員のイメージ | 実態 | |
---|---|---|
安定 | ○ | ・景気や人事査定の影響少ない。 ・給料は年功序列で上がる。 |
非競争社会 | ○ | ・成果やノルマは求められない。 ・競合他社の概念がなくスピード感も不要。 |
役所仕事 | ○ | ・良くも悪くもマニュアル通りで規則に従う、体裁にこだわる。 ・決裁文化でスピード感がない。 |
転勤がない | ○ | 異動してもその自治体地域内。 |
福利厚生が手厚い | ○ | ・土日祝休み+年休(夏休み含む)25日。 ・育児休暇など休暇制度が充実。 |
残業少ない | ✕ | 部署や担当業務に依存する。毎日定時帰りの人もいれば月100時間超えの人も。 |
残業にしても夫もたまに月40時間ほど残業することもありますが、前職の民間時代では毎月そのくらいだったので苦にはなっていません。市役所全体の平均は月10時間くらいで適度なレベルです。
また、成果やノルマを求められない、スピード感が不要など、民間と比べると総じて楽と感じています。
公務員のここが楽
民間と公務員の両方を経験した夫の感触として、公務員が楽と感じる理由を紹介していきます。
①ルーチンワークが多い
公務員はルーチンワークが多いです。
なぜなら公務員は3年くらいで異動があり、担当業務がころころ変わるから。経験や専門知識がなくてもすぐに対応できる仕事になっています。
例えば、財務部で予算管理→市民窓口業務、広報部で報道対応→労務管理業務といった異動があります。それでも異動先ではマニュアルや前例踏襲により仕事にはすぐ慣れます。
新人でも1〜2か月で順応できる仕事環境になっています。
②成果を競い合いわない
公務員は仕事で成果を競い合いません。
なぜなら競争社会ではないから。自治体間には競合他社という概念がありません。
また、人事査定で良い評価を受けても給料への影響が小さいため、職員同士で成果を取り合うこともないです。
並に仕事をこなせばそれでOK、ややパフォーマンスが悪くても「普通の査定=普通の給料・ボーナス」がもらえます。
逆に効率的に仕事を進めて良い査定をとったとしても、給料にはたいして影響せず頑張り損という世界です。
競争意識がないと仕事にモチベーションは持ちにくいですが、成果を気にしなくていいので精神的に楽に仕事に取り組めます。
③スピード感を求められない
公務員は民間ほどのスピード感を求められません。
この理由も先ほど同様、競争社会ではないから。
民間では他社との競争の中でいち早く結果を出して利益を生み出すためスピード感が重要です。一方で公務員は利益を生み出す組織ではないのでそこまでのスピード感は不要となります。
また、規則に従う、体裁を気にする、決裁文化という環境がよりスピードを遅くする要因にもなっています。
民間では現場の判断で速攻で進めることも、公務員は上司への判断を仰ぐための資料作りから決裁を取るまで非常に時間がかかります。
④ノルマがない
公務員にはノルマがありません。
民間でよくある「営業職で月の契約数10件」、「技術職で半期で特許2件提案」といった並以上の努力が必要で給料にも影響するノルマがないわけです。
もちろん公務員も仕事によっては月に100件の申請をさばくなど数字達成が義務付けられることもあります。
ただ、その数字も無理なくこなせる量で設定されていて、特段努力しなくても十分こなせる範囲になっています。
ノルマを気にせずのびのび仕事ができる点も恵まれた仕事環境かと思います。
⑤ボトムアップを求められない
担当クラスの職員はボトムアップの提案を求められません。
上司からの指示待ちで動く姿勢でも問題なく、理由は下記のとおりです。
・公務員の仕事の大枠は前年度に決まっていて新しく何かを考える必要がない。
・仕事の方向性は上司が決めて、指示により担当が実務をこなすのが実態。
・翌年度の事業考案は上司が考える。
担当者には民間ほどの主体性は求められず、指示に対応できればそれでOK。受け身姿勢でも評価が下がることはありません。
仕事意識が高い人にとっては物足りないかもしれませんが、楽かどうかの観点ではメリットといえます。
⑥残業あれど肉体労働
公務員は残業があってもその多くは肉体労働です。
例えば以下のような仕事です。
・提出期限の近い案件の対応(資料作成、情報整理など)をする。
・労務管理で年度初めに新規や異動などの大量の届け出をさばく。
・決算に向けて支出収入履歴を整理する。
これらは時間がかかり月何十時間も残業することもあります。でも、基本的にはルーチンワークなので時間がものをいう肉体労働です。
部署や担当業務によっては企画考案や計画作りなど頭を使う仕事での残業もありますが、全体からすると割合は小さいです。
民間出身はより楽に感じやすい
ここまで公務員が楽に感じる理由を紹介しました。
これらは民間からの転職者には、より楽と感じやすいかもしれません。
なぜなら民間での厳しい職場環境を体験してきたから。
たしかに公務員でも仕事がスムーズに進まなかったり、上司の意見に翻弄されたりと、しんどいことも多々あります。
ただそれは仕事をするうえではどの業界にもありうること。
民間の場合は加えて以下のことも起こり得ます。
・どんなに頑張っても結果がともわなければ査定に響き給料が下がる。
・上司に言われる前に自ら行動しなければならない。
・それは無理でしょ!というような納期での結果を求められる。
民間出身者はこういった厳しい経験もしてきたので生え抜き公務員よりも比較的タフです。
公務員の仕事がわりと忙しくても、楽に感じやすいかもしれません。
公務員の1日
公務員の1日の仕事がどんな感じか簡単に紹介します。
例えば、市役所の行政職で庶務担当は以下のとおり。
午前、午後ともに
・代表メールをチェックして課内に転送。回答が必要なものは期限を設けて依頼。(照会回答対応)
・課内の回答が揃った案件の取りまとめ。決裁をとって依頼元の部署へ回答。(照会回答対応)
・市民、事業者などの電話対応。
案件が発生した際に
・支出関係の事務手続き。
・事務用品の発注。
会議がある場合に
・必要資料の整理、印刷。
・会議メモの作成と課内へフィードバック。
代表メールには1日に10件以上は来るので、課内に周知・依頼するための情報整理にわりと時間がかかります。また、取りまとめ作業も何度か手直しが入るので決裁取りにも時間を要します。
なのでこの照会回答をベースに他の仕事を対応していれば1日が終わります。
庶務担当は特に、先ほど紹介した「公務員のここが楽」に当てはまるので、気楽に仕事ができます。
まとめ
公務員が楽と感じる理由について以下にまとめます。
・民間と比べると総じて楽。
・ルーチンワークが多い。
・成果を競い合いわない。
・スピード感を求められない。
・ノルマがない。
・ボトムアップを求められない。
・残業あれど肉体労働。
・民間出身はより楽に感じやすい。
公務員も忙しく、しんどい時はありますが、民間との比較で考えると楽に感じることも事実です。