公務員の忙しい時期はいつなのだろうか。
公務員を目指す方のこんな疑問に役立つ情報を紹介します。
楽そうなイメージの公務員ですが、忙しさは職種、部署、担当業務に依存します。
そのうえで公務員の平均的な繁忙期はいつかというと、ずばり「3月」です。
これは総務省による実態調査の結果にもあり、実際に公務員(市役所職員)になった私の夫の生活を見てもそのとおりなので、間違いないかと思います。
この記事では夫の経験も踏まえて公務員は3月が忙しい理由を紹介していきます。
地方公務員の妻。下記経歴の夫の実体験をもとに記事を書いています。
◇30代で民間から公務員に転職(東証一部上場企業→市役所)
◇理系出身・民間技術者→市役所行政職
◇民間では残業月60時間、独学4か月で公務員試験一発合格
夫の転職経験をもとに必要情報を取捨選択して紹介しますので一つ参考になるかと思います。
公務員の月別残業時間
総務省が行った地方公務員の残業実態調査によると、3月が最も忙しく、次いで4月と10月が忙しいという結果です。
時間外勤務の時間数①-調査対象99団体-(都道府県、政令指定都市及び県庁所在市)
時間外勤務が多い職員の割合①-調査対象99団体-(都道府県、政令指定都市及び県庁所在市)
出典:総務省ウェブサイト「地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果の公表」グラフより抜粋
平成26,27年の調査で少し古いデータですが、市役所勤務の夫の残業傾向もおおよそ当てはまっています。
なぜこれらの月が忙しいのかというと、事業の区切り、議会対応、異動の時期など公務員ならではの理由が考えられます。
3月が最も忙しい理由
公務員は3月が最も忙しい理由は下記の3つ。
・3月締めの事業が多い
・議会対応がある
・異動による仕事の引き継ぎがある
3月締めの事業が多い
公務員の仕事は3月締めの事業が多く、実績確認や支払いなどの事務手続きが集中して忙しくなります。
3月締めが多い理由は、公務員は年度単位で予算が割り当てられるので年度内に事業を終える必要があるからです。
例を挙げると下記のとおり。
・○○施設の改修工事を10月開始→3月完了
・△△の調査委託を12月開始→3月完了
・◇◇の受付業務委託を4月開始→3月完了
もちろん3月前に終わる事業もありますが、3月ぎりぎりまで引っ張ることも多いです。
議会対応がある
3月は議会が開催されることも忙しい理由の一つです。
なぜなら議会期間中は議員からの質問や資料作成の要求に対応する必要があるからです。役所の仕事において議員対応は優先度が高いため即対応しなければなりません。
議会に向けては想定質問回答の準備、議会中は上述の要求資料の作成など、最優先で取り組むため残業も多くなります。
例えば「熱中症対策で市内全学校にエアコン設置」という事業予算を計上した場合、下記の議員対応業務が起こり得ます。
【議会前】
・事業目的、費用対効果など、あらゆる質問を想定して回答の準備。
【議会中】
・現状の市内の設置状況を聞かれたら
→年度別の設置実績をとりまとめ資料作成
・他都市の設置状況を聞かれたら
→代表的な他自治体に問い合わせ設置率の資料作成
これらは最優先で資料作成も即日対応です。議員に提出する資料は上層部まで合意を取るため、内部での調整にも時間を要します。
元々データ整理していた内容ならラッキーですが、そうでない場合は一からの準備。職員らはとにかく質問・資料要求されないことを祈るのみです(笑)
議会時期は事業を持つ担当課以上に、とりまとめをする総務課が忙しいです。
異動による仕事の引き継ぎがある
公務員は4/1付で異動があるため、3月は仕事の引き継ぎにも時間を使います。
なぜなら異動は3月中旬以降に通知されるため、4月までの短期間で引き継ぎをしなければならないからです。
具体的には下記を一週間弱でやりきらなければなりません。
【他者への引き継ぎ】
・担当業務の概要、過去の経緯、今後やることの整理
・データ、書類の整理
・次期担当者への説明
【他者からの引き継ぎ】
・前担当者からの説明受け
・次の仕事の把握と勉強
通常業務をしながら引き継ぎ対応もするため、どうしても残業が増えてしまいます。
異動する人はもちろん、異動しない人も業務編成によっては引き継ぎが必要になります。
公務員の異動
公務員は3年ほどで異動があります。なので異動を予想して早くから引き継ぎ準備をすべきともいえますが、普段の仕事に追われるとそうもいかないのが実情です。
4月と10月が忙しい理由
4月と10月が忙しい理由についても簡単に紹介します。
4月は年度始めの対応や仕事に慣れるのに忙しい
4月は年度始めということで事務手続きや事業準備などの仕事で忙しくなりがちです。
例えば庶務担当なら
・新人や異動転入者の労務関係の登録
・会費や定期購読の支払い手続き
事業担当なら
・事業開始時の手続きもろもろ(事業者との契約、ウェブサイト更新、チラシ作りなど)
・上層部への事業説明(課長以上が誰かしら異動で変わるため)
といった仕事です。
また、異動などで担当業務が変わった場合は、新しい仕事に慣れたり勉強するのに時間を使います。
引き継ぎは前年度に終わっているとはいえ、実際仕事を始めてみると分からないことが出てきます。データの場所を探す、情報を調べる、人にやり方を聞くなど寄り道しながらの仕事になるため、どうしても時間がかかってしまいます。
10月は次年度予算編成の対応で忙しい
10月は次年度予算編成に向けて事業精査や新規事業提案などをするため忙しくなります。
役所の次年度の事業予算は3月の議会で決まりますが、前の年の10月には大方の内容を決めておく必要があります。
具体的には、事業精査なら(新規事業に予算を回すため)
・どの既存事業を廃止するのか
・事業継続の場合はどの項目を予算削減するか
新規事業提案なら
・事業概要、目的、実施計画などの整理
・事業にかかる予算の精度高い積算
といった次年度事業予算に関して、内部での議論や情報収集に労力がかかります。
忙しい月の残業時間は普通の月の2~3倍になり得る
参考として市役所行政職の夫の忙しい月の残業時間は普通の月の2~3倍です。
普通の月の残業時間は10時間ほど、3月、4月、10月は20~30時間になるのが毎年のパターン。元々が残業が少ない仕事環境にあるため、忙しい月でもめちゃくちゃしんどいことはないようです。
なお、始めにも紹介したとおり忙しさは職種、部署、担当業務に依存し、月別の傾向よりも影響が大きいともいえます。なので忙しい月もなく年間通してほぼ残業ゼロという人もいれば、年中忙しく毎月残業50時間以上という人もいます。
この記事で紹介した内容はあくまで公務員の一例としてご参考にしていただければと思います。
まとめ
公務員は3月が忙しい理由について紹介しました。以下にまとめます。
・公務員は3月、4月、10月が忙しい傾向にある。
・3月が最も忙しい理由は「3月締めの事業が多い」、「議会対応がある」、「異動による仕事の引き継ぎがある」。
・4月は年度始めの対応や仕事に慣れるのに忙しい。
・10月は次年度予算編成の対応で忙しい。
・忙しい月の残業時間は普通の月の2~3倍になり得る。