・公務員は本当に安定なのか実態を知りたい
・安定の反面、デメリットがないか気になる
こんな疑問を解決する記事になっています。
公務員は安定とよく言われます。理由は収入が安定している、リストラされない、離職率が低いといったところでしょうか。
そうはいっても実態はどうなのか気になるところですよね。
私の夫は民間から地方公務員に転職したため、両者の違いを身を持って実感しました。
結論、公務員が安定というのは間違いありません。一方で安定であるがゆえのデメリットもありました。具体例を交えて紹介していきます。
収入の安定
公務員はやはり収入が安定しています。夫のある3年間の年収推移は下記のとおり。
580万円 → 550万円 → 560万円
残業代も含むため前年より減ることもありましたが、前年比±30万円に収まっています。
一方で民間時代は前年比±100万円の変動がありました。それを踏まえると相対的に公務員の収入は安定といえます。
なぜ公務員の収入が安定しているかというと毎年昇給し、景気や人事査定の影響も受けづらいからです。詳細を紹介していきます。
毎年着実に昇給する
公務員は毎年着実に昇給します。
働き続ければ年収が増えることはあっても減ることはありません。(残業による収入分は除きます)
そして増え幅もある程度予測できるので家計的な将来設計が立てやすいです。
給料の昇給幅
自治体にもよりますが、公務員は通常年1に回4号給昇給します。
下記は国家公務員行政職の俸給表で、例えば2級の9号俸から13号俸に昇給すると給料は6,800円上がります(209,400円から216,200円)。
※ちなみに給料表も自治体ごとに異なり、夫の市役所はこんなに上がりません・・・
出典:人事院ウェブサイトの「俸給表」を加工して作成
この場合で例えば地域手当(勤務地による物価の差を埋めるための手当)が10%の場合、給与は7,480円(6,800円×1.1)のアップ。
年収は月給12か月+ボーナス4か月とした場合、104,720円(7,480円×16)のアップになります。
景気の影響を受けづらい
もちろん公務員も景気等の影響が完全にゼロではありません。
民間の平均給与が大きく変動すれば公務員の給料表も見直され、同じ級・号給でも給料が変わることもあります。
でも、大きく金額が変わるわけではなく、担当や係長クラスであれば数百円変動する程度の微々たるもの。
夫の市役所の例を挙げると、コロナの影響で給料表が見直されましたが給料は500円下がっただけでした。
人事評価の影響も受けづらい
人事査定が悪くても昇給が止まることはありません。
実際査定が悪いと普通の人よりも昇給幅は減ります。でも、通常4号給昇給のところを2~3号給にとどまる程度です。
先ほどの俸給表で2級の9号俸からの昇給を例にとると、下記のとおり昇給幅の差は1,400円です。
・通常 → 4号給の昇給で給料は6,800円アップ(209,400円から216,200円)
・査定悪い → 3号給の昇給で給料は5,400円アップ(209,400円から214,800円)
出典:人事院ウェブサイトの「俸給表」を加工して作成
ボーナスの変動が小さい
ここまで給料の安定について紹介しましたが、公務員はボーナスも安定しています。ボーナスも景気・人事査定の影響が小さいので確実にまとまった金額の収入が期待できます。
ボーナスの支給月数は毎年公表されており、例えば国家公務員の場合は下記のとおり。
出典:人事院ウェブサイトの「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」を加工して作成
令和3年度は最近ではコロナ影響か若干下がっていますが、それでも前年度比マイナス0.15か月。月給25万円なら年間ボーナスが約4万円減る程度です。
痛いには痛いですが、1回あたりでも数十万円の変動もありうる民間と比べると影響はかなり小さいといえます。
また、人事査定の影響も同様、査定が悪くてもボーナス1回あたり数千円下がるだけです。
夫の市役所では0.01か月下がる程度。給料25万円なら2,500円下がるだけです。(ボーナス50万円以上に対して)
地位の安定
公務員になると地位の安定が保証されます。
リストラの心配なし
世間が不景気、個人の人事査定が悪くても公務員はリストラの心配がありません。
民間のように業績という概念がないので、赤字から立て直すため年長者や成績不振の人間をリストラということが起こり得ないのです。
実際に夫の市役所でもリストラはもちろん早期退職の募集も聞いたことがないようです。この点は民間と比べて大きなメリットと言えるでしょう。
今後は公務員もリストラされる時代が来るのかは何ともいえませんが、少なくとも今の時代は安心して働くことができます。
ローン審査が通りやすい
公務員はローン審査が通りやすいのも間違いなさそうです。
我が家でも実証済みで、夫が公務員に転職して1年以内にもかかわらず、住宅ローンがすんなり組めています。
下記のとおり必ずしも審査が通る状況でもなかったのですが無事通りました。
・夫の転職のタイミングで私が会社を退職したため世帯年収=夫の年収
・夫の年収は転職で200万円減
・借入額は年収の6倍オーバー
一般的に転職直後はローン審査が通らないとも言われていますが、公務員の場合は特別なようです。
ハウスメーカーの営業さんも公務員は収入が安定しているから通りやすいと言っていました。
心と身体の安定
公務員はワークライフバランスを実践しやすく心と身体が安定しやすい職場環境です。そのため公務員の離職率は非常に低くなっています。
仕事のプレッシャー少なめ
公務員は民間と比べて仕事でのプレッシャーが少ないです。
なぜなら公務員は競争社会でないからです。
民間では競合他社がいて、その中で生き残るにはいち早く成果を挙げなければなりません。結果を求められるプレッシャーのもと、スピード感、オリジナリティ、生産性など意識して仕事に取り組む必要があります。
一方で公務員は競争相手が不在、つぶれる心配もないので民間と比べると危機感は少なくなります。
また、仕事の内容も結果を求められるよりは、自治体運営のためやるべきことをやる内容(計画づくり、市民窓口など)が多いです。その点も仕事のプレッシャーが少ない理由になります。
休暇制度が充実していて休みも取りやすい
公務員は休暇制度が充実しています。
・年休20日+夏休み5日
・結婚休暇でも給料満額
・人間ドックで職務免除
・育児のための時短勤務(1日2時間程度の職務免除)
といった感じで他にも豊富なメニューがあります。
このように休暇制度が充実していることもあり、休暇や職務免除が取得しやすい職場環境になっています。(部署にもよりますが)
ちなみに夫の市役所は平均年休取得日数は10日を超えており、夫は20日近く取れています。
安定によるデメリット
ここまで公務員の安定について紹介しましたが、安定であるがゆえのデメリットもあります。
収入が増えづらい
公務員の収入は安定していますが、収入は増えづらいです。なぜなら公務員は収入が減るリスクが小さい分、増えるリターンも小さいからです。
先ほど公務員の収入が安定の理由を下記のとおり紹介しました。
・必ず昇給
・給料とボーナスは景気や査定の影響を受けづらい
これらは逆の視点で見ると、収入が増えづらい理由にもなります。
まず、公務員は必ず昇給といっても毎年の昇給幅はほぼ固定で、昇任以外では大幅アップは望めません。また、景気や査定の影響が受けづらいことは、好景気・良い査定でも収入はほとんど増えないことを意味します。
一方、民間の場合は必ずしも昇給は保証されず不景気や悪い査定のときはのダメージも大きいですが、増えるときは一気に増えます。
その比較はざっくり下記のイメージです。
年 | 公務員 | 民間 | 公務員 | 民間 |
---|---|---|---|---|
給料(前年からの増減) | ボーナス(基準額からの増減) | |||
通常 | +5,000円 | +5,000円 | − | − |
好景気+良い査定 | +5,500円 | +20,000円 | +10,000円 | +300,000円 |
不景気+悪い査定 | +4,500円 | −5,000円 | −10,000円 | −300,000円 |
なので公務員への転職で年収が下がる場合は、なかなか転職前の水準にはもどらないことを理解しておきましょう。
仕事量の差が顕著でも給料は変わらない
心と身体が安定しやすい公務員の職場環境から生まれるデメリットが仕事量の差が顕著でも給料は変わらないことです。
先ほど「公務員は休暇制度が充実していて休みも取りやすい」と紹介しました。例えば、育児などでも時短勤務をしやすい=その分は他の人がサポートする組織体制をとってくれます。
その結果、時短勤務を取る人には軽めの仕事、それ以外の人には重めの仕事を担当するような業務配分になります。民間・公務員に関わらずワークライフバランスを意識する組織なら当然の対応で、職員もそれなりに理解しています。
とはいえ仕事が増える側は負担に感じることも事実です。
民間なら仕事量が増えても査定で評価されれば給料も上がるので前向きに考えることができます。一方で公務員は、たとえ査定が良くても給料への影響が小さいので、給料が変わらず仕事量が増えるだけ。モチベーションが上がらないのも無理ありません。
まとめ
公務員が安定と感じた理由と安定にともなうデメリットについて紹介しました。下記のとおりまとめます。
公務員が安定の理由
・毎年必ず昇給し、給料とボーナスは景気や査定の影響を受けづらい。
・リストラの心配なく、ローン審査が通りやすい。
・仕事のプレッシャー少なく、休暇制度が充実していて休みも取りやすい。
安定にともなうデメリット
・収入が増えづらい。
・仕事量の差が顕著でも給料は変わらない。