公務員に転職したいけど「給料少ない」とか「仕事がつまらない」とか、覚悟はしていてもやっぱり後悔しないだろうか。
実際に転職した人はどう感じているのか。公務員のネガティブな現実を事前に知っておきたいという方に役立つ情報を紹介します。
私の夫は民間から公務員に転職しています。東証一部の大企業から市役所への転職でしたが、実際のところ後悔はしていません。
でも満足度100%ではなく、公務員に転職してから現実を知ってガッカリした点もあります。
この記事では民間から公務員への転職で直面するネガティブな現実を夫の体験談を交えて紹介していきます。それらを把握し納得したうえでポジティブに転職できるようにしましょう!
年収減と昇給ペースが遅い覚悟を
公務員は安定しているとはいえ、民間の大企業と比べると給料の水準が低いです。そのため転職による年収減も予想されます。
さらには昇給ペースが遅いので、転職前の水準に戻すには何年もかかる覚悟が必要です。
年収は大幅に減ることも
大企業など民間でそれなりに稼いでいた方は年収の大幅減も覚悟しましょう。
なぜなら公務員の給料は中小企業含む民間企業の平均的な金額を参考に決めるからです。大企業の給料と比べると必然的に少なくなります。
夫も年収減は覚悟していましたが、700万→500万円への200万減で想定以上の下げ幅でした。
公務員採用試験の募集要項には転職後の給与のモデルケースが載っています。その金額を見て「こんなに少ないの?」と驚く方もいるかと思います。
あまりの少なさに「モデルケースは最低ラインでは?」とか「大企業出身なら増額補正あるのでは?」といったことも考えるかもしれません。でも残念ながらモデルケース通りの金額です。
大企業出身とか関係なく年齢と経験年数などから機械的に計算されて給料は決まるからです。
転職して数年は昇給ペースが遅い
公務員に転職して数年は昇給ペースが遅いです。
なぜなら公務員は年功序列で入庁年数が浅いほど金額アップも不利だからです。平均的な上がり幅(4号給)しか昇給しないうえ、入庁すぐのような低い等級ほど金額アップが期待できません。
仕事ができるできないに関わらず毎年の昇給幅は基本同じ。金額アップのイメージとしては月給が約6千円、年収が約10万円上がる程度です。(自治体や職種等により変わります)
公務員で手っ取り早く給料を上げる唯一の方法が昇格ですが、それもすんなりといきません。
昇格には試験があり、試験を受けるには公務員としての経験年数が要件になるからです。民間における経験年数は考慮されません。
そのため、例えば係長試験を受けるのに5年の勤務が条件なら、転職して5年間は昇格のチャンスがないのです。
転職組は生え抜き職員より給料が少ない
ちなみに転職組は生え抜き職員より給料が少ないです。
その理由は民間での経験年数は公務員としては0.8掛け以下で計算されるからです。
例えば民間経験年数10年なら公務員では8年とみなされます。そして公務員は年功序列なのでその2年差は給料にそのまま響きます。
公務員の仕事は基本的な社会人スキルで十分こなせますし、中途採用者は即戦力として期待されているわけで、給料が不利なのは残念なところ。
民間から民間へのキャリアアップ転職のような給料アップは期待できないどころか、生え抜き職員よりも不利であることを理解しておきましょう。
仕事の不満を感じやすい
民間経験者は公務員の仕事に少なからず不満を感じるでしょう。
夫の体験談を紹介しますので、公務員の仕事はこういうものだと割り切りましょう(笑)
不毛な仕事が多い
公務員は不毛な仕事が多いです。例を挙げると下記のとおり。
内部決裁のための資料作り
民間なら口頭連絡で済む話でも、決裁のためだけに説明資料を作ることも。慎重なのことはいいかもしれませんが、そのぶん余計な仕事が増えてしまいます。
文書の細かい体裁整え
段落番号の付け方や単語の送り仮名の付け方など、公文書規則に従う必要があります。伝わればOKとはなりません。
議会に向けての想定QA作り
大半は聞かれない想定質問のため情報収集や回答作成に時間を費やします。
などなど・・・
公務員は前例踏襲文化が強く、不毛に感じつつも毎年やっているとそれで良しとしてしまいます。
電話対応が多い
部署にもよりますが頻繁に電話がかかってきます。
市民窓口であればそれが仕事なわけで当然なのですが、電話が苦手な人にとっては苦痛になるでしょう。
公務員は一度部署に配属すると2~3年は異動がありません。運次第とはいえ、電話対応が多い仕事に就くリスクがあることを理解しておきましょう。
また、市民窓口ではない部署でも、役所の取り組みに対するクレーム電話などもしばしばあります。
一定規模の民間のようにサポートセンターがないので、電話対応も個々の職員がする必要があり、その間仕事が滞ってしまいます。
業務改善をしない
公務員の仕事では業務改善をしないため、効率の悪さを感じることもあります。
なぜなら多少効率が悪いやり方でも仕事を全うできればそれでOKとされるからです。
例えば支出をエクセルで管理する場合。1件1件手打ちをする、条件式を使わず1個1個のセルを足すようなやり方だとミスの確率が上がり時間もかかります。
マクロは無理でも数式を駆使してオート化の仕組みを作れば高効率化できるわけですが・・・そういったことは求められません。
業務改善したところで評価されることはなく、むしろ前例踏襲文化なので新しいやり方は敬遠されがちです。
人によってはネガティブに感じる公務員事情
人によってはネガティブに感じる公務員事情をざっと紹介していきます。
・地味な仕事
公務員の仕事は地味なものが多いです。部署や担当業務にもよりますが、申請書類のチェック、労務管理、経理事務など。退屈で眠くなるような仕事にも耐えなければなりません。
・市民との交流
市民との交流が多い部署もあります。例えばイベントではチラシ配りや声出しなど積極的なコミュニケーションが求められます。人との交流が苦手でもうまく対応しなければなりません。
・アナログな職場環境
役所は紙文化、FAX使う、プレゼンがないなど、アナログな職場環境です。民間でハイテク環境だった方にとってはその差に戸惑うかと思います。
・サービス残業の可能性
公務員は基本は残業代が支払われます。でも決められた予算内でやりくりするため、配属部署の予算上限に達した場合はサービス残業となる可能性があります。
・ブラック部署に配属される可能性
公務員はいろんな部署を数年ごとに異動します。そのため、運が悪いと残業が多い、ストレスが溜まりやすいなどブラック部署に配属される可能性もあります。
公務員に転職して後悔しないために
公務員=安定、楽そうというイメージだけで転職してしまうと、ネガティブな現実を知って後悔することもあるでしょう。
転職する前に公務員についてできる限り調べておくことで後悔するリスクを減らすことができます。
年収と昇給ペースを把握しよう!
公務員の給料は
・国家公務員か地方公務員か
・県庁か政令市か中核市か市町村か
・行政職か専門職か
などによって変わります。さらには地域手当や扶養手当などの諸手当にもよります。
例えば地方公務員を目指すなら、少なくとも自分が受ける自治体・職種の給与はしっかり調べましょう。
さらには年収を計算する、転職後数年間の昇給ペースも理解しておくと、よりイメージが湧きやすくなります。
年収や昇給の計算方法はこちらの記事をご参照ください。
公務員について調べよう!
公務員の種類、職種、仕事などを調べたうえで、自分の希望にマッチするところを受験すると良いでしょう。
例えば夫の場合は、転勤リスクを減らしたく市役所、事務仕事がしたく行政職を受験しました。
具体的な仕事内容は実際働いてみないとわからないことも多いですが、その他のことは情報収集で十分把握できます。
インターネット検索でも親切なサイト(公務員試験総合ガイドなど)がありますし、下記の本では公務員事情や仕事について詳しく書かれています。
まとめ
以下にまとめます。
・公務員への転職で年収減と昇給ペースが遅い覚悟をしなければならない。
・公務員に転職すると仕事の不満を感じやすい。
・地味な仕事、アナログな職場環境など他にもネガティブに感じる公務員事情あり。
・公務員に転職して後悔しないために「年収と昇給ペースを把握する」、「公務員について調べる」ことを忘れずに。
公務員への転職についてネガティブな面を紹介しましたが、私の夫は公務員に転職して満足しています。なぜならネガティブな面よりも、ポジティブな面=転職によるメリットが上回ったからです。