民間で働いていて公務員に転職したい。大卒枠と社会人枠で受験できそうだけど、どちらで受験すべきだろうか。
こんな疑問の参考になる情報を紹介します。
公務員は高卒枠、大卒枠、社会人枠など様々な受験枠があり、年齢や社会人経験年数によっては大卒枠と社会人枠どちらでも受験できる場合があります。
そんな時「どちらの枠で受けると合格しやすいのか」、「入庁後の待遇に差がないのか」気になりますよね。
結論、どちらの枠がおすすめかはその人の能力や環境次第です。例えば大卒枠の方が倍率は低いものの、より多くの勉強時間が必要です。
私の夫は社会人枠で公務員を受験し、民間から転職しています。その経験も踏まえ詳しく説明していきます。
公務員試験の大卒枠と社会人枠
この記事では公務員試験の大卒枠と社会人枠の違いについて紹介します。
大卒枠の受験条件
大卒枠は受験年度の4/1時点で21~29歳の人が受験できるパターンが多いです。(自治体によっては30歳以上でも受験できるところもあります)
大卒程度という名目ですが、学歴は不問で年齢条件満たせばOKとなります。例えば、埼玉県庁の令和4年度の上級試験の条件は下記のとおり。
・日本国籍である
・平成4年4月2日から平成13年4月1日までに生まれた人
(令和4年4月1日現在21~29歳)
なお、自治体によっては大卒程度のほか、地方上級、I類、I種などで表記されます。
社会人枠の受験条件
社会人枠は民間等での職務経験者が受けられる受験枠です。
年齢や職務経験年数に条件が付き、例えば、30~58歳かつ5年間以上民間での職務経験といった感じです。
こちらも自治体によって社会人枠、民間経験者枠、職務経験者枠など表記が変わります。
条件満たせばどちらの枠でも受験できる
自分の年齢、職務経験年数が条件を満たせば大卒枠と経験者枠のどちらでも受験できることがあります。
例えば令和4年度の埼玉県庁。大卒枠、社会人枠の受験条件は下記のとおりで、大卒・28歳・社会人経験5年の人ならどちらの枠でも受験できそうです。
項目 | 大卒枠 | 社会人枠 |
---|---|---|
年齢 (令和4年4月1日現在) | 21~29歳 | 〜58歳 |
職務経験 (令和4年7月末日現在) | 条件なし | 大学卒業後、民間企業等で職務経験を5年以上 (他に2条件。その中から1つを満せばOK) |
同じ自治体で併願できるかどうかは受験要綱をよく確認した方がいいでしょう。
例えば、自治体Aでは大卒枠、自治体Bでは社会人枠で受験できるイメージです。興味のある自治体の募集情報をよく調べることをおすすめします。
大卒枠と社会人枠のどちらで受けるべきか
30歳前後かつ社会人経験が5年以上の方は大卒枠と社会人枠のどちらでも受験できる可能性が高いです。
その場合、どちらの枠で受験するべきか悩ましいですよね。どちらにしてもハードルは高いものの、必要な勉強量や倍率が変わってきます。
大卒枠、社会人枠の特徴をまとめると下記のとおりです。
項目 | 大卒枠 | 社会人枠 |
---|---|---|
試験科目 | 筆記、論文、面接 | 筆記、論文、面接 プレゼンテーション面接を行う自治体もあり |
配点 | 筆記、論文 < 面接 | 筆記 ≪ 論文、面接 |
採用人数 | 多い | 少ない |
倍率 | 低め | 高め |
受験する人の能力や環境によってどちらの受験枠がおすすめか変わってきます。
試験の違い
試験内容
大卒枠、社会人ともに筆記試験、論文試験、面接試験で構成されるのは同じです。
しかし内容という点では社会人枠では下記の特徴があります。
・筆記試験の出題量が少ない
・論文試験で職務経験関連のテーマが課される
・面接試験で職務経験関連の質問が多い
・プレゼンテーション面接を行う自治体もある
社会人枠は民間経験を生かし即戦力として期待されています。
そのため、論文試験や面接試験では大卒枠でも共通する一般的な内容に加え、職務経験の成果や行政への活かし方について問われます。
配点
大卒枠、社会人枠ともに論文試験と面接試験の配点が高い傾向にありますが、社会人枠はより顕著です。
下記は令和4年度の埼玉県庁行政職での比較ですが、社会人枠は筆記試験の配点割合が特に低いことがわかります。
試験 | 大卒枠 (一般方式) | 社会人枠 |
---|---|---|
筆記 | 200 | 50 |
論文 | 100 | 250 |
面接 | 300 | 500 |
埼玉県庁の受験案内をもとに作成
公務員試験の対策には1000時間の勉強が必要とも言われますが、これは大卒枠は筆記試験の出題範囲が広いから。
社会人枠の場合は筆記試験の出題は少なく配点も低いため、大卒枠ほどの勉強は不要といえます。
一方、社会人枠は論文試験と面接試験がより重視されるので、職務経験の自己PRなど大卒枠以上に万全の対策で臨む必要があります。
採用人数、倍率
大卒枠は採用人数が多く倍率は低め、社会人枠は採用人数が少なく倍率は高めの傾向があります。
令和3年度の埼玉県庁の行政職の試験実施結果は下記のとおり。
大卒枠 | 社会人枠 | |
---|---|---|
受験者 | 1,183人 | 135人 |
合格者 | 284人 | 5人 |
倍率 | 4.2倍 | 27.0倍 |
埼玉県庁の受験案内をもとに作成
とりあえず受けただけの人がいるにしても社会人枠の倍率20倍超えは非常に高く、かなりの難易度といえます。
大卒枠での受験がおすすめな人
試験勉強に時間がとれて、暗記や読解など筆記試験に自信がある人は大卒枠での受験がおすすめです。
なぜなら大卒枠は筆記試験の配点が社会人枠よりも高い傾向にあるから。
論文や面接が苦手で、筆記試験の勉強は苦ではなく点数を稼ぐだけ稼ぎたい人にもってこいの受験枠です。
ただ、大卒枠の筆記の勉強には莫大な時間を要するので時間に余裕のある人向けです。
社会人枠での受験がおすすめな人
試験勉強の時間があまりとれず筆記が苦手、一方で論文や面接での自己PRに自信がある人は社会人枠がおすすめです。
なぜなら社会人枠は筆記試験の配点が低い傾向にあるから。職務能力重視で論文や面接勝負の試験になってきます。
公務員試験を受けるのにあたり、筆記試験は出題範囲が幅広く勉強はかなり大変です。
そんな人のための社会人枠というべきか、筆記試験の配点が低く、基本を抑えれば少ない勉強時間でも突破することができます。
たとえ筆記の得点がボーダーラインぎりぎりだったとしても試験全体に占める配点が少ないので、論文、面接でうまくアピールできれば合格がぐっと近づきます。
入庁後の待遇はほとんど変わらない
大卒枠と社会人枠のどちらで入庁しても待遇はあまり変わりません。
給料は民間での経験年数が考慮されて決まりますし、社会人枠だからといって昇格に必要な年数が必ずしも少なくなるわけではありません。
自治体によっては差をつけるところもあるかもしれませんが、少なくとも夫の市役所は同じ待遇でした。
一方で、入庁後の新人向け研修のいくつかが、社会人枠での採用者は免除されることはあったようです。(といっても数時間分ですが。)
まとめ
公務員試験を大卒枠か社会人枠のどちらで受験すべきかについて紹介しました。以下にまとめます。
・条件満たせば大卒枠、社会人枠どちらでも受験できる。
・大卒枠、社会人枠ともに論文試験と面接試験の配点が高い傾向にあるが、社会人枠はより顕著。
・大卒枠は採用人数が多く倍率は低め、社会人枠は採用人数が少なく倍率は高めの傾向あり。
・試験勉強に時間がとれて、暗記や読解など筆記試験に自信がある人は大卒枠での受験がおすすめ。
・試験勉強の時間があまりとれず筆記が苦手、一方で論文や面接での自己PRに自信がある人は社会人枠がおすすめ。
・大卒枠と社会人枠のどちらで入庁しても待遇はあまり変わらない。