・民間から公務員への転職を考えていて転職活動の進め方を知りたい。
・実際に転職した人の体験談を聞きたい。
こんな方の参考になる情報を紹介します。
民間から公務員への転職は、民間から民間への転職と比べてレアなケースといえます。
身近に経験者がおらずノウハウを知りたくても情報集めに苦労するのではないでしょうか。
・そもそも民間から公務員に転職できるのか
・どんなメリットデメリットがあるのか
・転職活動をどのように進めるべきか
・どんな情報を集めるべきか
などなど、たくさんの疑問があると思います。
実際に公務員に転職した私の夫も、体験談を聞ける人がおらず自力での情報集めに苦労したものです。
この記事では夫の公務員転職経験をもとに、上記疑問を解決できる情報を紹介します。
同じような境遇の方の一つの参考になれば嬉しいです。
地方公務員の妻。下記経歴の夫の実体験をもとに記事を書いています。
◇30代で民間から公務員に転職(東証一部上場企業→市役所)
◇理系出身・民間技術者→市役所行政職
◇民間では残業月60時間、独学4か月で公務員試験一発合格
民間から公務員への転職は可能
民間企業に就職した方でも公務員に転職することは可能です。
新卒で公務員になる方と同様、試験に合格すれば公務員になることができます。
公務員試験には社会人経験者枠があり、50代でも公務員への転職が可能です。
また、社会人枠は勉強時間勝負の筆記試験の配点が低く、自己PR勝負の論文・面接試験の配点が高い傾向にあり、社会人が受けやすい構成になっています。
公務員転職のメリット・デメリット
民間から公務員に転職する主なメリット・デメリットは下記のとおりです。
メリット
・成果主義から解放され仕事のプレッシャーが減る
・年功序列で確実に給料が上がる安心感ができる
・不景気による年収の大幅減やリストラの心配がなくなる
・転勤リスクが減る
デメリット
・大企業からの転職の場合、年収が大きく下がる
・仕事ができても給料に反映されない
・ルーチンワークや地道作業も多く仕事が退屈に感じる
・民間への出戻りは難しくなる
民間と公務員の大きな違いは、民間は会社の業績・個人の仕事の成果が給料にもろに影響しますが、公務員はそうではないこと。
民間は成果主義で、他者より成果を出すことのプレッシャー、ノルマや発表対応などに追われ仕事中心の生活になりがちです。
その分、給料としての見返りもあり、会社・成果次第では30代で年収1千万円も珍しくありません。
一方、公務員は成果主義ではありません。税金を使っていかに住民生活に還元するかの組織です。
限られた予算で最大限奉仕するため真面目に働きますが、競争意識が働かない分、民間ほどの仕事のプレッシャーはないと言えるでしょう。
反面、仕事ができても給料への影響は小さく通常昇給では年収10万円アップ程度。安定が保証されるとはいえ年収1千万円は50代でやっと到達するような金額です。
このように公務員は仕事のプレッシャーが少ないものの、高年収は期待できません。
メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで転職に臨みましょう。
転職活動の進め方【体験談を紹介します】
民間の技術職から公務員の行政職に転職した夫の体験談から、転職活動の進め方を紹介します。
①現職の不満を整理する
はじめに現職の不満を整理します。
転職をしたいと考えるのは現職に不満があるからですよね。
一時的な感情や現実逃避で転職すると後悔することになりかねません。
まずは不満を整理してから解決策を考えましょう。
・激務(月残業60時間+家でも仕事)
・いつも時間に追われている
・同じ激務ならもっと給料ほしい
・ノルマと発表がしんどい
・休日も仕事のことが頭から離れない
・地方転勤の可能性あり
②転職の目的を整理する
続いて転職の目的を整理します。
基本は現職の不満を解決するため転職を考えるのかと思います。
転職で実現したいことを挙げていきましょう。
・どうせ激務ならもっと給料ほしい
・もしくは給料下がってもいいので、ゆとりのある仕事がしたい
・仕事中心の生活から脱却したい
・福利厚生が充実している職がいい
・職場は実家にも近い地域で転勤のない職がいい
③転職で妥協できることを整理する
転職は現職の不満を解決できる一方、良い点も失うデメリットも想定されます。
デメリットをどの程度受け入れられるか、転職で妥協できることも整理しましょう。
・給料が下がること
・専門スキルや経験が活かせない仕事でもOK
・自分の思い通りに仕事を進められなくても受け入れられる
・ゴールデンウィークやお盆など長期休みがなくてもOK
・世間的には給料高い
・大学までに学んだ専門知識が仕事に活かせる
・仕事がしやすい環境(仕事は自分任せ、会社に資金力あり)
・ゴールデンウィークは9連休など長期休みが多い
④社内で解決するか転職するか判断する
ここまで整理した内容をもとに、転職をすべきか判断しましょう。
不満の内容次第では現職での部署異動でも解決するかもしれません。
転職は労力を伴い、たとえ転職できてもいざ働くと予想と違うなどのリスクもあり得ます。
特に公務員転職の場合は試験勉強に数百時間かかり、かつ先述のような転職によるデメリットも多いです。
もし社内での異動や担当業務の変更で解決しそうならそれがベストです。
熟考した結果やっぱり転職したい!となれば次のステップに進みます。
⑤職務経歴書を作成する
本格的な転職活動の第1ステップとして職務経歴書を作成します。履歴書ではなく、これまでの職務実績をがっつり書くものです。
職務経歴書を書くことで民間転職の選択肢を残すか、公務員転職1本に絞るか今後の方向性を決めやすくなります。
たとえ公務員を目指すとしても、転職先の候補は広い視野でスタートした方が良いかと思います。
社会人としての経歴を振り返り
・職務経歴
・活かせる経験・知識・技術
・資格など
・自己PR
といった内容をA4で1~2枚にまとめましょう。(職務経歴書の雛形は転職サイトから無料ダウンロードできます)
いざ書き始めると案外難しいものですが、社会人としての自分の価値を改めて考えることができます。
ここで全てをリセットして公務員になるのは勿体ないという考えが生まれたら、民間転職を検討するのも全然ありです。
夫もこの時点では公務員1本には決めきれず、まずは民間転職活動を進めることにしました。
⑥民間転職活動を始める(公務員1本に決断した方は⑦へ)
民間転職と公務員転職の両方を選択肢とした場合は、まずは民間転職活動から始めましょう。
なぜなら一度公務員に転職すると民間に戻るのは難しいからです。
公務員では専門分野での経験やスキルが身につかないので、それを求める民間にとって公務員は戦力外に映ります。
いったん公務員になる=空白期間を作ることになり、直接民間から民間に転職するよりも不利となります。なおかつ年齢も増すことでより不利になるでしょう。
民間転職活動を進めるなら、エージェントがサポートしてくれる転職サイトがおすすめです。
理由は求人情報を受け取るだけの転職サイトでは、自分で会社を探すのが面倒になり先に進みづらいからです。
一方、エージェントのいる転職サイトでは、こちらの職歴や希望をカウンセリングのうえ、自分に見合った会社を紹介してくれます。
また、他人も関わってくることで、サボれない気持ちも生まれ転職活動がスムーズに進められます。
夫が民間転職活動用に利用した転職サイトはDODA。
理由は民間時代に他者へ転職した同僚数人のほとんどがdoda経由だったからです。
転職先も全て東証一部、年収もアップしていたようで、安心できる転職サイトとみて登録しました。
夫も登録後3日で電話カウンセリングを受けて、候補企業も紹介してもらい話はスムーズに進みました。
結局、民間転職では希望が満たせず公務員転職を選びましたが、民間転職活動を進めたことでより正確な判断ができました。
下記から登録できます🔽
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⑦公務員転職活動を始める「その1 公務員について調べる」
まずは公務員について詳しく調べましょう。
なぜなら公務員への転職すると、仕事・給料・私生活など民間時代と大きく変わるからです。
転職してから後悔しないよう、念入りに情報収集しましょう。
公務員の仕事、給料、職場環境を簡単にまとめると下記のとおり。(行政職の場合)
仕事 | ・誰でもできる仕事内容(専門能力はいらずマニュアル通り)。 ・アイデア出しよりもコツコツやる仕事が多い。 ・市民と接したりクレーム対応もある。 |
---|---|
給料 | ・30代で年収500万円台。 ・年功序列で人事評価はあまり影響しない。 ・景気の影響による金額の変動が小さい。 |
職場環境 | ・ノルマや発表がなく精神的プレッシャーが少ない。 ・非競争社会で成果を意識しない。 ・残業は部署や時期に依存。ほぼ定時帰りの部署もある。 |
「公務員転職のメリット・デメリット」でも触れましたが、民間と比べると仕事の厳しさは緩め、その分、大企業のようにガツガツ稼ぐこともできません。
民間から公務員に転職すると仕事のプレッシャーは減りますが、退屈な仕事が多く給料も期待できない(年収下がる)可能性が高いことは理解しておきましょう。
なお、公務員でも部署によっては残業が多い、サービス残業がある、失敗が許されない仕事もあります。「公務員=絶対に楽」とは考えないよう注意しましょう。
⑧公務員転職活動を始める「その2 受験する公務員条件を決める」
公務員にもいろいろ選択肢があるので、自分の希望にあった条件を決めましょう。
・国家公務員か地方公務員か。
・国家公務員なら総合職か一般職か。
・地方公務員なら県庁か市役所か、行政職か技術職か。
など。
夫の場合は以下の理由で地方公務員、市役所、行政職を条件としました。
・実家の近くの地域がいい。
・異動による引っ越しや通勤時間が増えるリスクを少なくしたい。
・これまでの理系職とは違う分野の仕事がしたい。
公務員は基本転勤がありませんが、国家公務員の総合職は例外で全国での転勤の可能性があります。
また、地方公務員でも県庁の場合は、県内で遠方への異動もあり得ます。
市役所は異動があってもその市内なので、引っ越しや通勤時間が増えるリスクが少ないです。
あとは受ける公務員の募集枠も確認します。年齢や職歴により新卒枠か社会人枠のどちらかで受けることになります。
夫の場合、転職活動時点で30歳を超えていて、希望する市役所では新卒枠での受験は無理でしたが、職務経験者枠なら可能でした。
⑨試験勉強をする
希望する公務員の受験先を見つけたら試験勉強をします。
受験先の自治体の受験案内からスケジュールや試験科目を把握したら勉強に取り組みましょう。
ここが最大の難関で仕事をしながらの勉強はかなり大変です。筆記試験、面接試験などやるべき対策は多いですがしっかり取り組みましょう。
具体的な勉強方法は別記事で紹介していますので、そちらをご参照ください。
ちなみに夫の場合、公務員の試験勉強を始めた時点で民間での転職活動は休止することにしました。
⑩合格後、公務員転職の最終判断をする
努力の末、試験に合格ができたら公務員転職の最終判断をします。
公務員転職は公私ともに生活が一変するので今一度真剣に検討しましょう。
夫の場合は最終試験まで進んだ時点では本当に公務員に転職すべきかまだ迷っていました。
実際、いざ転職となると悩む人は多いようで、夫の市役所では内定を辞退する人もいたようです。(単に他の自治体と併願していただけかもしれませんが)
その後、今一度熟考したうえで公務員転職を決断し手続きを進めることとしました。
民間転職活動は辞めて、年明けに職場でも身辺整理を始めて上司へ報告、引き継ぎや退職手続きを進めました。
そして晴れて4月から公務員となりました。
これから公務員転職を目指す方へ
これから公務員転職を目指す方に知ってほしいことを2点紹介します。
合格倍率が高くてもひるまず挑戦しよう
公務員は狹き門で、自治体によっては合格倍率が10倍や20倍になることもあります。
そのような倍率を見ると、他の人が優れていそうだ、無理だと諦めの気持ちが出てくるかもしれません。
でも公務員試験では前職での実績や役職は一切関係なく、試験で合格するには高得点を取るのみのわかりやすい基準です。
論文や面接試験の得意不得意はあれどいわば皆が同じ条件でスタートラインにいるわけです。
夫も理系人間ながら文系の行政職、20倍ほどの倍率を一発合格できました。
努力次第で合格は十分可能なので、倍率にひるまず挑戦しましょう。
公務員転職活動は今の仕事を辞めずに進めるべき
転職活動を始めても今の仕事は辞めずに続けましょう。
試験勉強が大変だからと仕事を辞めて勉強に集中したところで確実に合格する保証はありません。
辞めるのではなく仕事は適度に力を抜いて、家に帰ってから勉強に全力を注ぎましょう。
試験は受かったら儲けもの、落ちたら今の仕事を続けてまた来年と考えた方が気楽に臨めます。
まとめ
民間から公務員を目指す転職活動の方法について紹介しました。
以下にまとめます。
・民間から公務員への転職は可能。
・公務員転職のメリットは仕事のプレッシャーが少ないこと、デメリットは給料は期待できないこと。
・現職の不満、転職の目的、転職で妥協できることを整理する。
・転職せず社内で解決するならそれに越したことはない。
・職務経歴書の作成は公務員転職にも役立つ。
・公務員についてよく調べてから転職活動を進める。
・合格倍率が高くてもひるまず挑戦すべき。
・今の仕事を辞めずに転職活動を進めるべき。
公務員への転職を目指す方の参考になれば嬉しいです。