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地方公務員の行政職は理系出身でも問題なし【経験者が感じたこと】

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理系出身・理系の職業の方が公務員の行政職を目指すとき、文系の仕事をこなせるか不安ですよね。

以下の経歴でガチガチの理系人間の夫が、地方公務員の行政職への転職活動を始めたときも同じ心境でした。

・小さい頃から国語が苦手で算数が得意
・高校は理系、大学は工学部、大学院まで卒業
・就職した民間企業では理系の仕事

その後、夫は希望通りに転職し、仕事もすぐ慣れて不安は杞憂に終わりました。

この記事では夫の経験をもとに、理系出身の人間が地方公務員の行政職になって感じたことなどを紹介していきます。

この記事がおすすめな人

・理系出身で文系の仕事をやってみたい人。

・理系の職業から地方公務員の行政職に転職したい人。

地方公務員の行政職は理系出身でも問題なし

行政職の仕事内容

行政職の仕事の一部を紹介すると以下のとおり。

知識や経験がものをいう理系の仕事とは違って、未経験でも対応しやすいのが行政職の特徴です

庶務

・給与事務(残業や通勤手当といった勤務関係の届出、年末調整など)

・市役所内外の照会回答(例:○○イベントに出展希望あるか? → 課内に展開してとりまとめて回答)

・職場で使う消耗品の管理(コピー用紙、封筒など)

経理

・予算決算管理事務(支出・収入手続き、予算要求など)

・契約事務

普及啓発

・市民に取り組んでほしいことを広告や市ウェブサイト、イベントで周知

・パンフレットや広報誌の作成(市民向けのイベントや市の取り組みの周知など)

計画策定と進捗管理

・まちづくり、環境、防災など市があるべき姿を達成するための計画を作成

・策定した計画に対して進捗を管理、遅れがあれば改善策の検討

上記のとおりです。

一見複雑に見えるものもありますが、たいていの仕事は過去事例を参考にこなせてしまいます

地方公務員は3年程度で異動があるので、基本は誰でも対応できる仕事内容になっています。

理系大学院卒の行政職員も普通にいる

実際のところ行政職員には理系出身、さらには大学院まで卒業してる人も普通にいます

そして、文系出身の職員と同じように仕事をこなして出世もしています

行政職をするうえで理系出身であることを気にする必要はありません。

なお、地方公務員には電気や化学などを専門とする技術職があります。

夫も転職活動当初は技術職も考えましたが、募集自体がほとんどなく諦めました。

でも後になってわかったのですが、技術職員でも配属する部署によっては行政職の仕事をする場合もあるようです。

地方公務員は異動が多く、部署によっては技術職の仕事がないことがあるためしばしば起こり得るとのこと。

この点からも理系出身の方が行政職の仕事をするのも珍しくないことがわかります。

行政職に求められるスキルは理系の職業とも共通する

事務職の仕事を進めるうえで必要なスキルには、技術者と共通するものがあります

正確さ

・行政職の場合
他人の届出を扱うことが多いので、ミスをすると他人に迷惑がかかります。ミスがないか何度も確認、ときにはダブルチェックをして仕事をする正確さが求められます。

・理系職の場合
誰がやっても同じ結果が出せるよう正確なデータ取りが求められます。細かすぎるくらいの精度でデータを取り、何度も再現性を確認して技術を生み出します。

コツコツ取り組む力

・行政職の場合
誰でも対応できる内容である反面、単調でつまらない仕事ともいえます。届出対応や財務・物品管理など成果は見えなくても欠かせない仕事で、コツコツと着実にこなさなければなりません。

・理系職の場合
技術を生み出すには地味な作業の積み重ねです。情報収集、実験、評価解析を永遠と繰り返します。それでも結果が出ないことも多く、忍耐強さが求められます。

他にも計画性やコミュニケーション能力など、行政職と理系職で仕事内容は違っても共通点は多いです。




理系職から地方公務員の行政職になって感じたこと

文書を扱うことが多い

行政職の仕事は理系職と比べて文書を扱う機会が多いです。例えば夫が転職で実感した行政職、理系職での比較は以下のとおり。
※行政職の電話対応時間は部署によって全然違うのであくまで一例ということで

内容行政職理系職
文書を扱う庶務、経理、広報作成など
〜仕事の大半〜
文献調査、報告書作成など
〜仕事全体の1~2割程度〜
文書以外電話対応
〜仕事全体の1~2割程度〜
実験、評価、データ整理、資料作成、プレゼンなど
〜仕事の大半〜

行政職は理系職のように実験や評価などの現場作業やプレゼンがない一方、勤務時間の大半を文書を読む・作成することに費やします。

打ち合わせも技術者のようにパワーポイントを使うことは少なく、ワードで作成した資料を使うことが多いです。

文書を扱う機会が一気に増えるのではじめは苦痛かもしれません。

でも、

・ルーチンワークが多い
・文書を作るときは前例を参考にできる
・条例や規則は暗記せず必要なときに必要な箇所だけ確認すればOK

といった感じなので慣れてしまえば問題なく対応できるようになります。

そして文書を作成する機会が増える分、自然と文章力はついていきます

理系出身の強みが活かせる

行政職は単純作業も多いですが、仕事内容によっては理系出身の強み=「論理的に考える、数字で示す」スキルを活かすこともできます

理系では

・思いつきでは結果につながらない
→論理的に考える

・曖昧な表現は説得力がない
→数字で示す

といったかたちで、学生実験や仕事での経験を通して自然と身につくスキルです。

これらのスキルは事務職でも企画提案や普及啓発などの仕事に活かせます。

論理的思考

理系職の人が新しい技術を生み出す際、課題を洗い出し、経験や文献、他社情報などを踏まえ根拠に基づいて改善策を考えます。

この論理的思考によるトライ&エラーを繰り返すことで、最小限のアプローチで課題解決=新しい技術を生み出すことができます。

数字で示す

目標、成果、達成度すべてにおいて、曖昧な表現はせずに数字で定性的に示します。

「電気抵抗がわずかに改善した
→電気抵抗が10%小さくなった」

といったように、数字で示すことでわかりやすくなり説得力が増します。

例えば地方公務員の行政職員が、○○の認知度をあげる企画提案をするときの提案の仕方を比較すると以下のとおり。

①論理的思考、数字根拠なし

○○の認知度を上げるため、他都市で効果のあった△△の取組みをうちの市でもやるべき。

②論理的思考、数字根拠あり

・市内の〇〇の認知度は20%、目標は計画に掲げた30%。

・アンケート調査では、60歳以上は認知度10%と特に低い。

・市の人口は60歳以上が40%を占め、この世代の認知度を10%→20%とすれば、市全体の認知度は30%となる見込み。

・他都市で△△の取組みで認知度が3千人増えた例がある。

・人口比で換算すると、うちの市では認知度は1万人増え、60歳以上の認知度は10%→20%に増えると期待できる。

・よって市全体の認知度は現状の20%から30%に増え、目標を達成できる見込み。

・以上から△△の取組みをうちの市でもやるべき。

これは極端な例ですが、②の説明の方が説得力があり、より企画を通しやすくなります。

論理的に考え、数字で示すことで相手を納得させやすいのは事務職の仕事でも同じです

職種に関係なくこういったスキルは当然かもしれませんが、理系出身の方は特に慣れていてすんなり対応できることが強みといえます。

行政職ならではのメリットがある

行政職のメリットは私生活にも役立つ情報を学べる場合があることです

例えば仕事のひとつに年末調整事務があります。

会社員や公務員がその年に最終的に支払うべき納税額を調整するため、税控除の対象となる書類を提出してもらいとりまとめる仕事です。

提出側からすると必要と言われた書類を集めて出すだけで、給与にかかる税の仕組みがどうなっているか知らない方も多いかと思います。

私も書類出すだけの側だったので詳しいことは知りませんでした。

でも担当業務となると年末調整の仕組みを理解する必要があります。すると仕事のための勉強により、

・保険料やiDeCoの支払いにより税金はいくら安くなるのか
・控除してもらえる上限額はいくらか
・配偶者控除を最大限に活かすには配偶者の所得をいくらに抑えるべきか

などがわかります。

他にも感染症対策のための正しい手洗いの仕方、除菌の仕方はどんな方法が良いのかなどもそうです。

こういった私生活でも活かせる知見を仕事で学べるのはいいですね。

まとめ

「地方公務員の行政職は理系出身でも問題なし」について紹介しました。以下のとおりまとめます。

まとめ

・行政職の仕事は未経験でも対応しやすい。

・理系大学院卒の行政職員も普通にいる。

・行政職に必要なスキルは理系職と共通するものがある。

・行政職の仕事は理系職と比べて文書を扱う機会が多い。

・「理系出身の強み」=「論理的に考える、数字で示すスキル」を活かすこともできる。

・行政職のメリットは私生活にも役立つ情報を学べる場合があること。

理系職から行政職に転職しても仕事は問題なく対応できます。また、行政職ならではのメリットもあります。

地方公務員への転職を考えたときの参考にしていただけると幸いです。