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地方公務員の庶務業務とは?【具体的な内容を紹介します】

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地方公務員の仕事のひとつに庶務業務があります。

具体的にどんな仕事なのか、地方公務員を目指す方に役立つ情報を紹介します。

私の夫は民間企業から地方公務員(市役所職員)に転職、地方公務員1年目に庶務業務を経験しています。

民間時代は技術者だったので庶務初心者でしたが、初めてでもすぐに対応できる仕事とのこと。

実際、庶務業務は市役所の一連の仕事に触れられる面もあり、新規採用者が担当することも多いようです。

夫から詳しくヒアリングしたリアルな情報を紹介していきます。

庶務の仕事

庶務の仕事は大きく分けて3つあります。仕事量自体は多いものの、基本はマニュアル通りにこなせる仕事です

照会・回答業務

総務部など他部署からの通知、依頼を課内に周知する仕事です。依頼の場合は、課内の回答をとりまとめて依頼元に回答します。

「照会」とは
辞書で調べると【問い合わせて確かめること。】という意味。
依頼元から自分の課への照会に対し、回答を準備し返す必要があります。

照会メールは1日に10通以上来ることもあり、庶務担当が仕切ることで、他の職員がそれぞれの担当業務に集中できるようになります。

照会にも種類があり、単にメール転送だけで済むものもあれば、上層部まで説明し了承を得てから回答するものもあります。

周知(転送)だけ

通知など回答不要なものはそのままメールを課内に転送し周知するだけで済みます。

(例)
・○○会議の資料送付について
・市内での新型コロナウイルスの患者の発生について
・庁舎の停電予定について

課内意見をとりまとめ回答

回答が必要な依頼については、課内へ展開し意見を集めます。とりまとめ後、係長・課長の承認を経て依頼元に回答します。

依頼元への回答には期限があるので、内容を踏まえ課内期限を設定し、余裕を持って対応できるようコントロールします。

(例)
・○○施設へのチラシ配架希望について
・○○イベントへのブース出展希望について
・○○計画に記載事業の進捗状況について

課内意見まとめ→上層部への説明→承認後回答

新規事業など重要度が高い照会については、内容により課としての回答を局長、副局長、部長など上層部へ説明し承認を得てから依頼元に回答します。

(例)
・新規事業について
・○年度の人員要求について

「局長」とは
市役所や県庁の組織は、総務、会計、スポーツなどの局から構成されており、それぞれの局で一番偉い方が局長です。
民間企業では部門長(社内カンパニー制を持つ会社ならカンパニー長)に相当する役職です。

最長で課長→部長→副局長→局長と複数回説明する場合もあるので、手直しを含め余裕を持って対応する必要があります。

回答期限から逆算してスケジュールをコントロールするのも庶務の役割の一つです

以上が照会回答業務です。依頼が多い年度初めや月初めは忙しいですが、慣れてしまえば流れ作業で対応できます。

感覚的には一日の半分はこの仕事に費やしています。

労務管理

給与関連の届出などの労務管理も庶務の仕事です。最終的な手続きは管理部門の仕事ですが、課内での指示・とりまとめは庶務が行います。

毎月もしくは毎年の定例業務なので、こちらも慣れてしまえば流れ作業で対応できます。

主な業務を紹介していきます。

残業、年休取得時の申請サポート

基本は各個人が申請→係長、課長が承認していく流れですが、入力忘れがある場合はフォローします。
また、月初めには前月分の申請を完了するようリマインド連絡します。

減給対象者の管理

育児関係での休暇や職務免除は給与減額が必要な場合があり、対象の休暇・職務免除取得記録をとりまとめます。
子育てのため職務免除や部分休暇を取得する職員も多いので、対応する頻度は高めです。

随時改定の確認

課内職員の直近3か月の報酬変動により、随時改定の対象となるかの確認をします。

「随時改定」とは
労働者が毎月支払う社会保険料は原則4~6月の平均報酬額により決まります。
でも昇給や残業などにより3か月の平均報酬が大きく(2等級、ざっくり3万円。)変動した場合は、時期にかかわらず社会保険料の見直しをする必要があり、それを随時改定といいます。

年末調整

生命保険料や地震保険料、iDeCo(個人型確定拠出年金)など、税控除の対象となる支払い情報の登録、控除証明書の提出を課内分とりまとめます。

地方公務員の場合は10月頃に年末調整手続きをします。

扶養登録・現況調査

結婚や出産などで扶養状況が変わった職員の届出をします。また、年に1回の扶養状況調査対応として対象職員からの提出書類(扶養配偶者の所得証明書など)をとりまとめます。

通勤手当関係

異動や新規で課に入った職員の通勤経路登録をします。また、通勤手当を支給している職員に対し、半年に1回定期券利用の確認をします。

この他にも健康診断受診呼びかけ、福利厚生関係書類の配布なども行います。

例えば年末調整対応による税の知識など、仕事を通して学んだことが日常生活に活かせる場合があります。これは庶務担当ならではのメリットです。

職場環境整備

職員が仕事をしやすくするため、職場環境を整えるのも庶務の仕事です。詳細を紹介していきます。

物品管理

定期的に補充が必要な消耗品を管理します。具体的には消耗品がなくなる前にアスクルなどへ発注し、納品して支払い手続きをします。

また、機会は少ないものの備品を購入した場合は出納簿に登録し管理も必要です。年に1回、過去に購入した備品も含め監査が入るのでその対応もします。

「消耗品」とは
税込み単価が例えば3万円未満で、短期間で消耗又は破損しやすい物品。コピー用紙、フラットファイル、封筒など。

「備品」とは
税込み単価が例えば3万円以上で、長期間継続して使用できる物品。棚、事務机、外付けハードディスクなど。

※備品となる金額は自治体により変わる可能性があります。

嘱託、アルバイトの採用

嘱託、アルバイトの採用時には一連の対応をします。ウェブサイトでの募集案内、面接官のスケジュール管理、受験者への通知、採用者の事務手続きなどを行います。

イレギュラーなケースで毎年必ずある仕事ではないですが、対応する場合はそれなりの労力がかかります。

「嘱託」とは
例えば、年度途中に出産・育児休暇を取得し不在となる職員の代わりに仕事をする人。

基本は職員と同等の仕事をするので報酬も高く、週30時間勤務で月給10万円台後半くらいです。また、年休も取得できます。

「アルバイト」とは
人員不足などで職員だけでは仕事がさばけない場合にサポートをする人。

あくまで職員の補助で、電話対応や書類チェックなど簡単な仕事で、求められるレベルは嘱託よりも下がります。

報酬も固定月給でなく時給900円程度。年休はないので休めばその分報酬が減るだけです。

※これらの報酬額も自治体により変わる可能性があります。

コピー代、郵便代などの支払い手続き

課で1ヶ月に使用したコピー代、郵便代などの利用料金の支払い手続きをします。

業者からの請求→支払い手続きは1ヶ月単位ですが、例えば郵便代の予算が事業内容により別れている場合は、事業毎の利用額を把握し、事業毎の予算で支払い手続きをするひと手間があります。

郵便物、新聞管理

郵便物や新聞などを毎日所定の場所から回収し、課内に持っていきます。また、課から発送する郵便物は午前午後に1回ずつ、まとめ郵便局に持っていき発送手続きをします。

口座管理

出張旅費が課の公金口座に振り込まれる場合は、引き落とし手続き、本人への手渡し、出納簿登録などの手続きを行います。

また、公金の適切な利用がなされているかの確認のため、口座の利用記録は毎月管理部門へ提出する必要があります。

以上が職場環境整備の主な仕事です。内容的には楽な仕事ですが、地味に時間を取られます。

アルバイトを雇っている場合はいくつかお任せできますが、基本は庶務の仕事になります。

まとめ

簡単ではありますが、地方公務員の庶務業務について紹介しました。以下にまとめます。

まとめ

・庶務の仕事はマニュアル通りにこなせて初心者でも対応しやすい。

・照会回答業務は転送だけで済むものから、上層部へ説明のうえ回答が必要なものもある。

・労務管理も庶務がとりまとめる。毎月、毎年の定例業務で流れ作業で対応可。

・職員が仕事をしやすくするため、職場環境も整備する。

・庶務業務を通して学んだ知識は日常生活に活かせる場合もある。

庶務担当も他の職員と同じように事業的な業務も受け持つ場合もありますが、メインは庶務業務になります。

地方公務員転職を目指す方が転職後の仕事をイメージする参考になれば幸いです。