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地方公務員のイベント企画運営はどんな仕事?

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地方公務員の仕事の一つにイベント企画運営があります。

他業界の方からすると「イベント企画運営って具体的に何をするの?」といった疑問があるかと思います。

地方公務員への転職を考えた時、少しでも事情がわかるとイメージがしやすいですよね。

私の夫は地方公務員に転職し、市役所職員として実際にイベント企画運営に携わりました。

その経験をもとに
・イベントを開催する場合
・他者開催のイベントへ出展する場合

の二つのパターンで具体的な仕事内容を紹介します。

イベントを開催する場合

イベント企画運営の仕事は大きく分けて「企画」、「周知」、「運営」の3つです。

市役所による講演会の開催を例に、順に説明していきます。

イベントの企画

企画書の作成

イベントを開催する目的、内容など企画案を作ります

例えば以下のようなイメージです。

講演会「マラソンから学ぶ〜継続する力〜」
・目的
スポーツの魅力を伝える
・内容
元マラソン選手を講師として、競技を通じて学んだこと、楽しみ方などを紹介してもらう
・ターゲット
運動不足になり始める30代〜40代 →講師は同世代を候補に
・時期
講演を聴いた方がすぐに実践しやすい10月に開催する
・市役所外の調整
講師は外部へ依頼、会場は市施設以外を借用

他にも講師の選定、参加者の募集規模、周知方法、開催までのスケジュールなど細かい内容も詰めます

他部署や他都市含め、過去に類似イベントの開催実績があればそれも参考にします。

企画案ができたら規模に応じて上層部へ説明し、手直ししながら確定します。

講演会ならこんな感じですが、数千人以上の参加を想定する大規模イベントの場合はもっと複雑です。

数千人規模になると運営は委託するので入札等で委託業者の選定、委託業者との綿密な打ち合わせが必要です。

さらには市役所内および地元企業への参加依頼、協賛企業の募集や挨拶回り、地域団体との連携、市長挨拶の調整など、やることは盛りだくさんです。

日々の業務時間のほとんどをイベント企画に費やすことになります。

市役所が当年度に使える予算は前年度に決まります。イベントの開催にはお金がかかるので、当年度に思いつきで実施することはできません。

前年度に次年度予算を計画する時点で、大枠の方針(どんなイベントを開催するか、必要予算の概算など)は決めています。

実施に向けた準備

企画が固まったら計画したスケジュールにならいイベント開催に向けた準備をします

講演会の場合、まずは下記のような時間を急ぐ案件を済ませます。
・講師への依頼
・会場の予約
・チラシ作成

市役所の場合、講師への報酬額は規則で決まっているため、あまりに著名でギャラが高い講師は呼べません。

あとは当日までに、従事する職員の調整、講師とのやり取り、会場の下見、進行用のシナリオ準備などをします。

市民への周知

なるべく多くの市民に伝わるよう広報ツールを駆使してイベントを周知します

市施設へのチラシ配架

市役所のほか、図書館、スポーツセンターなど市施設へチラシ配架を依頼します。

市内報道機関への通知

市内のテレビ局、新聞社など報道各社へイベント内容を通知します。

もし関心を持ってもらえれば(報道ネタになると判断されれば)、報道機関から詳細について問い合わせが来るのでその対応をします。

そうすると、例えば新聞記事に掲載してもらえます。

もし報道されれば周知効果は絶大です。やはり一般の媒体に取り上げられるのは大きいです。

ただ、実際は報道に取り上げられる確率はかなり低いです。

なぜなら市役所のイベント程度では報道機関の報道ネタとしては乏しいからです。また、ネタになる面白い内容だったとしても、宣伝空き枠次第のところもあります。

市発行の広報誌、市政テレビ・ラジオでの宣伝

市独自の広報媒体で宣伝します。

広報誌は市内全戸に配布、市政テレビ・ラジオはローカル局ですが市内全域に放送されるため、それなりに広報効果は高いです。

ただ、市役所内の多くの部署が宣伝を希望するため(イベントに限らず事業の周知など)、採用されないことも多いです。

運良く採用された場合は、広報誌は掲載する記事内容、テレビ・ラジオは放送用の原稿を作成します。

市ウェブサイトへの掲載

市ウェブサイトに記事を掲載します。各課事業を紹介するページを持っているので、そこにイベント情報を掲載し宣伝します。

とはいえ、各課のページは市ウェブサイト内でも下層にあり、一日あたりのアクセス数は数件程度なので、周知効果はあまり期待できません。




イベントの運営

あとはイベント開催日に向けて着々と準備を進め、当日は職員と事業者などが一体となって運営します

参加希望者の受付・抽選・案内

講演会の場合は事前申し込み制をとる場合が多く、開催日より前に市民からの参加希望を受け付けます。

受付方法は企画次第で、電話、郵送、メール、電子応募などで受付して情報を管理します。

募集よりも多くの方が参加を希望した場合は、抽選で参加者を決めます。そして当選者に当日の案内や参加券などを配布します。

会場準備

会場に荷物を運びます。会場側との交渉で事前に置かせてもらえる場合は前日に対応します。

荷物は公用車で運びます。当日は準備にバタバタしたり渋滞の懸念があので、可能な限り前日に済ませたいところです。

当日は会場の設営(講演会の場合は、机の配置、プロジェクター・音響調整など)、啓発用パネル・チラシの設置、配布資料準備などイベント参加者の受け入れに備えます。

また、講師や従事する職員と最終打ち合わせをします。

イベント本番

まずは受付で参加者を受け入れ、会場へ案内します。時間になったら準備したシナリオにならい進行します。

講演会の場合は以下のような流れです。

・市職員による始めの挨拶

・講演の概要説明、講師の紹介

・講師による講演

・質疑応答

・終わりの挨拶、アンケートの依頼

司会進行、照明や音響調整、マイクなど、職員で役割分担して対応します。

後片付けなど

講演が終わった後は片付けなど。講師へのお礼挨拶と報酬も渡します(事務所を介して後日に口座振込の場合もあります)。

あとは使った荷物を市役所へ運んで、当日の作業は終了です。

後日、反省会やアンケート分析をして次回のイベントに活かします。

他者開催のイベントへ出展する場合

他者開催イベントへ出展する場合も、イベント開催の場合と同じように「企画」、「周知」、「運営」を行いますが、あくまで出展側なのでかなり楽です

まず、イベントへ出展する!と決めるのは大抵は以下の場合。毎年恒例で出展することもあれば、新規に出展することもあります。

・主催側から出展依頼が来た

・主催側から出展希望調査が来た&こちらも出展して何か啓発したい

例えば、市役所の〇〇局が開催する夏祭りへのブース出展を例に説明していきます。

出展するブース内容の企画

どんなブースにするかを考えます。基本は課内の職員だけでの対応なので、ラフな企画で問題ありません
例えば、以下のイメージです。

ブース「○○川の生き物たち」
・目的
生き物を通じて自然保護に関心を持ってもらう
・内容
生き物に関するクイズを出す、答えはブース内のパネルを読めばわかるように
・特典
クイズ&アンケート回答者にはクジを引いて啓発品をプレゼント

他にはブースレイアウト、クイズの内容、展示する啓発用パネルやチラシ、対応職員の役割分担、タイムテーブルなどを決める程度です。

担当同士で話合って決めてしまい上司へも特に説明しないことも多いです。こんな感じでやりますとは伝えますが。

ブース出展の場合は、お金を使わずに手持ちのアイテムでも全然対応できます。

なので前年度時点で予算計上する必要もなく、突発の依頼が来ても対応できます。

周知は必要最小限

ブース出展の周知はほとんどやりません。

なぜならイベント自体の周知は主催者側が対応するので、ブース出展者側が特出しで周知する必要がないからです。

周知するにしても、市ウェブサイトの課の事業紹介ページに○月の○○イベントに出展します!と掲載する程度です。

でも主催者側がしっかりと周知してくれるので、イベント自体には多くの方の来場が期待できます。

ブースの運営

仕事柄ブース運営にはみんな慣れているので、運営準備はギリギリになることが多いです。それでもさすが経験者が多いだけあって当日の運営もスムーズです

会場準備

こちらも主催側の場合と同様、会場に荷物を運びます。可能であれば前日に。

当日はブースレイアウトの調整、展示物の設置など、ブース来訪者の受け入れ準備をします。

ブース用のテントやテーブルなど備品の設置は主催者側にて対応してもらえるので、あくまで中身だけでOKです。

イベント本番

ブース来訪者の対応します。

市役所の取り組みやクイズの説明など、ブース出展により伝えたかったことを全力でアピールします。

幸いにも来訪者がひっきりなしに来てくれれば、ひたすら対応し休憩時間があまり取れないこともあります。

余裕があれば他のブースを見に行ってイベント自体を楽しむこともできます。

後片付けなど

片付けをして、荷物を市役所へ運んで解散です。こちらも後日、反省会やアンケート分析をします。

以上です。なお、イベントはほぼ土日に開催するので休日出勤となります。代休はもらえます。

イベント開催・出展回数は部署にもよりますが、夫の場合は年に5回程度出ています。休日出勤が多いのは地方公務員の宿命かと思います。

まとめ

地方公務員のイベント企画運営について「イベントを開催する場合」、「他者開催のイベントへ出展する場合」の二つのパターンで紹介しました。以下にまとめます。

まとめ

・イベント企画運営の仕事は大きく分けて「企画」、「周知」、「運営」の3つ。

【イベントを開催する場合】
・予算をとって綿密に企画を考える。

・なるべく多くの市民に伝わるよう広報ツールを駆使してイベントを周知する。

・イベント開催日に向けて着々と準備を進め、当日は職員と事業者などが一体となって運営する。

【他者開催のイベントへ出展する場合】
・課内の職員だけでの対応なので、ラフな企画で問題ない。

・イベント自体の周知は主催者側が対応のため、自らの周知は必要最小限。

・ブース運営は経験者が多く当日もスムーズ。

イベントは多くの市民と直接触れ合う機会なので、市役所の事業をアピールできるとても良い機会です。

普段の事務作業よりも比較的楽しみながら仕事ができるのでイベントが好きな職員も多いようです。