地方公務員試験でほぼ必須となる論文試験。配点割合も高めで、合格するにはここでしっかりと高得点を取りたいところ。
特に社会人枠で受験する場合、社会人経験をテーマに出題されることも多く、自分をアピールする絶好の試験ともいえます。
私の夫も理系人間で文章が書くのが苦手、試験前は仕事が忙しくて試験対策にあまり時間が取れず同じ悩みを持っていました。
夫は取り組んだ論文試験対策は以下の5つのステップ。
①過去問の調査
②論文のネタ集め(情報整理・情報収集)
③論文の作成
④作成した論文の暗記
⑤暗記した論文を書く練習
この記事で詳しく説明していきます。
・地方公務員試験を受ける人。
・論文試験の勉強方法を知りたい人。
①過去問の調査
まずは自分が受験する自治体の過去問を調べました。各自治体ウェブサイトの採用試験のページには、過去3年分ほどの出題が載っています。
本番も過去問と同じようなテーマが出てくると読んで、少なくとも過去問に対しては論文を書けるようにしました。
論文テーマは大きく分けると下記の2パターン。受験する自治体がどちらの傾向にあるのかチェックしましょう。
・自分の社会人経験を行政にどう活かしていくか
・時事問題に対して行政としてどう取り組むべきか
夫の受けた自治体では社会人経験をテーマとする傾向があり、本番でも類似の内容が出ました。
試験対策としては、どちらのパターンにも対応できるようにすべきですが、出題傾向がある方により注力しましょう。
例えば令和2年度にはコロナウイルスに絡め「感染症対策について行政としてどう取り組むか」をテーマとした自治体が見られました。
自分が受験する自治体の過去問になくても、最近のトレンドは抑えておくべきです。
調べる範囲は例えば、自分が受験する周辺地域の自治体や、県庁、政令市など10箇所程度調べるとそれなりの傾向がつかめます。
②論文のネタ集め(情報整理・情報収集)
過去問を調べたら論文を書くためのネタ作りをしました。
論文テーマが社会人経験と時事問題で勝手が違うので個別に説明します。
社会人経験のテーマを想定【情報整理】
これまでの自分の社会人経験について情報を整理します。
過去の出題を参考に以下を論述できるようにと考えました。
・身につけた長所や強み
・最も意欲的に取り組んだこと
・達成したこと
・困難をどのように解決したか
・失敗から何を学んだか
・自分の能力を発揮した経験
・プロジェクトでの自分の役割
まずはマインドマップツールなどを使って経験したことを洗い出します。例えば以下のイメージです。
長所や強みなどは根拠も示し、成果は数値化することで説得力もアップします。
上記で書き出したことを「社会人経験を行政へどのように活かすか」を論述するネタとして活用します。
社会人経験に関することは面接試験でも聞かれる可能性が高く、ここで整理した情報は活かせるのでしっかりやりましょう。
時事問題のテーマを想定【情報収集】
こちらは一般的な時事問題について情報収集をします。
とにかく知識がないと何も書けず、的外れな論文になってしまうので、情報を頭に詰め込みましょう。
基本は過去問で出題された時事問題の現状、課題について調べます。
例えば働き方改革。ウェブで検索すると以下の情報がわかりました。
〜内閣府2019年度レポート「ワーク・ライフ・バランスの希望と実際の一致状況」〜
現状
【希望】
・「家庭生活を優先」または「仕事と家庭生活をともに優先」が5割以上
・「仕事を優先」が1割
【実際】
・「家庭生活を優先」または「仕事と家庭生活をともに優先」は4割以下
・「仕事を優先」が4割以上
課題
希望と実際が一致していない。家庭生活を優先したくても仕事を優先しているのが現状。
また、フレックスタイム、テレワーク等の柔軟な働き方について、4割超が「してみたいが、できていない」と回答していることから、柔軟な働き方をする環境が整っていない。
※正社員の場合
出典:内閣府男女共同参画局ウェブサイトより
論文試験では時事問題の現状に対して何を課題と捉えて、解決策など自分の考えをしっかりと述べることが重要です。
そのためにも細かい数値までは暗記しなくとも概要は理解するようにしましょう。
他にも少子高齢化、感染症対策、防災など過去問に出題されるような時事問題について調査します。
また過去問にはなくても、直近一年間で話題になった時事問題(テレワーク、SDGs(持続可能な開発目標)など)も抑えておくと良いです。
ここで調べた情報も面接試験で「地方公務員になったら何がしたいか?」の回答に活かせる可能性があるので調べて損はありません。
③論文の作成
①で調査した過去問に対し、②で集めた情報をもとに実際に論文を作りました。
パソコンのWordやドキュメントで作るのがおすすめです。紙よりも修正しやすく、文字数もすぐわかるので。
論文試験での重要なポイントは、聞かれた質問に対してしっかりと答えることです。
まずは「○○が課題だ」、「自分の考えは△△だ」といったように、まわりくどい言い方をせず自分の主張=結論を簡潔に述べるようにしましょう。
そして理由を述べて、再度結論を書いていきます。
例えばある時事問題テーマに対して論文を書くと、以下のようなイメージです。
問題
働き方改革推進の課題は何か。それを解決するため行政はどんな取り組みをすべきか。
作成した論文
(前半の質問への回答)
◯結論
自分の考える働き方改革推進の課題は、柔軟な働き方を実施する環境が十分に整っていないことである。
◯理由
内閣府が2019年度に行った仕事と家庭の優先度に関する調査によると、正社員の5割以上が「家庭生活を優先」または「仕事と家庭生活をともに優先」と希望しているのに対し、実態は4割以下にとどまっている。
また、正社員の4割以上が、フレックスタイムやテレワークなどの柔軟な働き方を「してみたいができない」と答えている。
◯再度結論
つまりは働き方改革に取り組みたくても、その環境が十分に整っていないために実施できない労働者がいるのが現状である。
(後半の質問への回答)
◯結論
それを解決するために行政が取り組めることは以下の二つが考えられる。
・行政が率先して働き方改革に取り組み、その成果を公表して企業での実施を働きかける。
・資金に余裕がない中小企業に対して、テレワーク設備の導入支援をする。
◯理由
第一に、企業によっては働き方改革により生産性が下がると考え、労働者が柔軟な働き方をしづらい職場環境としている可能性がある。
行政が働き方改革に取り組み、仕事を高効率化した成果を示せれば、そういった企業も前向きに取り組むきっかけになるのではと考えている。
◯理由
第二に、中小企業の中にはテレワークを導入したくても設備投資が障壁となって断念している可能性がある。
そこで行政が支援することでお金の問題が解決できれば、柔軟な働き方に取り組める企業も増えるのではないかと考えられる。
◯再度の結論
以上の取り組みを行政が行うことで、課題である環境整備問題を解決し、働き方改革を促進できるのではないかと考えている。
こんなかたちで質問にはしっかりと答え、事前に調べた情報も使って理由も述べましょう。
あくまで書き方の一つとして参考にしていただければと思います。
④作成した論文の暗記
論文を作成したらそのまま暗記をしました。
なぜなら論文試験では60分で800文字程度を書く必要があり、実際のところ問題を見て一から構想を練るには時間が全然足りないからです。
・過去問と同じような問題が出たら暗記したものをそのまま書く
・過去問と内容が変わった問題が出たら暗記したものをアレンジして書く
くらいで臨まないと時間内に仕上げるのが難しいです。
(1)問題を理解する
(2)論文の内容と構成を考える
(3)論文を書く
(4)見直しをする
時間がかかるのが(2)と(3)ですが、(3)は暗記したものを書くだけでも30分はかかります。(単純計算で1分に30文字書いたとして、800文字書くには27分)
さらに書き損じや書き忘れの修正をするともっと時間がかかります。
そうなると(2)に使える時間は20分とか。頭の回転が早い方であれば可能かもしれませんが、この短時間で800文字の内容と構成を考えるのは難しいです。
なので試験対策で作った論文は全て暗記しましょう。
⑤暗記した論文を書く練習
最後に行ったのが書く練習です。試験本番と同じ時間を測って時間内に書けるように何度も練習しました。
論文試験はもちろん手書きなわけですが、普段パソコンに慣れていると紙にたくさんの文字を書くというのがなかなか大変です。
書き損じ、書こうと思ってたことを飛ばした時の修正にも時間がかかります。
あとはそれなりに読める字の丁寧さ、行が斜めになっていないかにも気を配ります。
文字の見栄えは採点に関係ないかもですが、せっかく一生懸命考えたなら見栄え良く伝わりやすい方がいいですよね。
まとめ
地方公務員の論文試験対策について以下にまとめます。
・自分が受験する自治体の過去問を調べる。
・論文テーマは大きく分けて「社会人経験」と「時事問題」の2パターン。
・過去問を調べたら論文を書くためのネタ作りをする。
・社会人経験の情報整理、時事問題の情報収集をする。
・聞かれた質問にしっかりと答えた論文を作成する。
・作成した論文は全て暗記する。
・暗記した論文を本番と同じ時間で書く練習をする。
論文試験は暗記もしますが筆記試験とは違い表現力勝負です。想いを込めて魅力的な文章を作りましょう。