公務員はボーナスをいくらもらえるのだろうか?
自分が目指す自治体のボーナスの計算方法を知りたい。
こんな方に役立つ情報を紹介します。
公務員は募集案内にモデル給与は載っていてもボーナスまではわかりません。
また、よくニュースで公務員の平均ボーナスの金額は聞くものの、自治体や勤務年数によって変わってきます。
「より自分に近い条件での具体的なボーナス金額が知りたい」という時、ボーナスの計算方法を知っていると、やや精度高く予想することができます。
この記事では公務員のボーナスの計算方法について紹介しますので、公務員を目指す方の参考になれば幸いです。
地方公務員の妻。下記経歴の夫の実体験をもとに記事を書いています。
◇30代で民間から公務員に転職(東証一部上場企業→市役所)
◇理系出身・民間技術者→市役所行政職
◇民間では残業月60時間、独学4か月で公務員試験一発合格
公務員ボーナスは年間でざっくり月給4か月分
公務員ボーナスは年間でざっくり月給4か月分です。
国家公務員の過去10年の変動を見ても3.95〜4.40か月分となっています。
出典:人事院ウェブサイト「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」
ここから税金や保険料が引かれるので、手取りはざっくり8割程度になります。
公務員ボーナスは計算できる
公務員ボーナスは計算できます。
なのでその年度にいくらもらえるかが事前にわかります。
公務員ボーナスを決める要素は月給(給料+扶養手当+地域手当)、支給月数、在職率です。
これらの要素がわかれば計算できるので、公務員は事前にボーナス金額がわかるのです。
ちなみに人事査定の結果も支給月数に若干の影響を及ぼします。
ただ公務員の場合、その影響はかなり小さく、査定による変動は±0.1か月分程度。
良い査定を取っても月給30万円なら年間で3万円増えるかどうかです。(夫の市役所はもっと振れ幅小さいです)
査定で何十万も変わることもある民間ほどのインパクトはないと思っていいでしょう。
公務員ボーナスの計算方法(9ステップ)
公務員ボーナスの計算方法を9ステップで紹介します。
国家公務員か地方公務員、自治体や職種によらず、どの公務員でも計算方法は同じです。
(要素になる給料表や手当などの金額は変わってきます)
①級・号給を知る
まずは公務員の給料の基準となる級・号給を知ります。
すでに公務員になっていれば自分の級・号給はわかりますし、これから目指す方も募集要項の初任給情報からわかる場合があります。
例えば2023年度国家公務員の一般職試験(大卒程度)受験案内には、行政職員は1級25号給と書いていました。
なお、級・号給は学歴や勤務年数などで決まり、1年に1回昇給で上がっていきます。
(通常は同じ級で4号給上がります)
②給料を知る
給料表をもとに級・号給に応じた給料を知ります。
国家公務員や自治体の給与条例を調べると、職種ごとの給料表が公開されているので、そこからわかります。
(地方公務員は給料表、国家公務員は俸給表と言い方をしますが意味は同じです)
③扶養手当を計算する
扶養する家族がいる場合、扶養手当を計算します。
たいていは配偶者6,500円、子ども1人あたり10,000円です。
例えば、配偶者と子ども2人を扶養しているなら、26,500円となります。
④地域手当を計算する
続いて地域手当を計算します。
地域手当とは地域による物価の差を補填するもので、都心ほど高い傾向にあります。
国家公務員では下記のとおり。
出典:人事院ウェブサイト「国家公務員の諸手当の概要」
地方公務員も基本は国家公務員と同じで、各自治体の給与条例にも書かれています。
なお、地域手当は給料+扶養手当に加算されます。
例えば、給料+扶養手当が30万円で、地域手当が10%なら3万円です。
⑤給与を計算する
①〜④の情報をもとに下記の式で給与を計算します。
給与 = 給料 + 扶養手当 + 地域手当
⑥ボーナス支給月数を知る
自治体のウェブサイトからボーナスの支給月数を知ります。
たいていは給与の勧告に関するページに載っています。
ちなみに公務員のボーナスは期末手当+勤勉手当が正式名称です。
⑦人事査定を確認する
ボーナスには若干ながら人事査定結果も加味されるので、それも確認します。
少なくともボーナス前には自分がどんな評価はわかるようになっています。
査定次第で±0.1か月程度の増減がありますが、民間と比べるとほとんど影響ないと考えていいでしょう。
⑧在職率を確認する
ボーナス支給の基準日(6/1、12/1)以前6か月間の在職率を確認します。
普通に勤務していれば100%です。
一方、休職や欠勤をすると減ります。なお、休職や欠勤の種類により期末手当、勤勉手当にどの程度影響するかは、自治体ごとに細かく規定されています。
あと、新規職員は最初の6月のボーナスは在職率が少ないので3割程度の支給です。次回12月のボーナスから満額支給になります。
⑨ボーナスを計算する
以上、①〜⑧の情報をもとに下記式により、ボーナスが計算できます。
ボーナス = 月給(給料+扶養手当+地域手当) ✕ 支給月数 ✕ 在職率
モデルケース
実際にモデルケースでボーナスを計算してみます。
下記を前提とします。
・査定は普通
・在職率100%前提
・扶養手当は配偶者6,500円、子ども1人あたり10,000円
ボーナス = 月給(給料+扶養手当+地域手当) ✕ 支給月数 ✕ 在職率
給料25万円、地域手当20%、支給月数4.4か月の場合
扶養なしの場合
月給
=給料25万円 + 扶養手当0円 + 地域手当5万円(25万円✕20%)
=30万円
ボーナス
=月給30万円 ✕ 支給月数4.4か月 ✕ 在職率100%
=132万円
配偶者、子ども2人扶養の場合
月給
=給料25万円 + 扶養手当2万6,500円 + 地域手当5万5,300円((25万円+2万6,500円)✕20%)
=33万1,800円
ボーナス
=月給33万1,800円 ✕ 支給月数4.4か月 ✕ 在職率100%
=145万9,920円
給料30万円、地域手当5%、支給月数4.1か月の場合
扶養なしの場合
月給
=給料30万円 + 扶養手当0円 + 地域手当1万5,000円(30万円✕5%)
=31万5,000円
ボーナス
=月給31万5,000円 ✕ 支給月数4.1か月 ✕ 在職率100%
=129万1,500円
配偶者、子ども2人扶養の場合
月給
=給料30万円 + 扶養手当2万6,500円 + 地域手当1万6,325円((30万円+2万6,500円)✕5%)
=34万2,825円
ボーナス
=月給34万2,825円 ✕ 支給月数4.1か月 ✕ 在職率100%
=140万5,583円
公務員ボーナスの特徴(民間との違い)
公務員ボーナスの特徴は下記のとおりです。
・確実にもらえる
・向こう数年間のおおよその金額も予想できる
・景気や成果による影響が小さい
・支給日が6/30と12/10
これはつまり民間ボーナスとの違いでもあります。
確実にもらえる
公務員は景気に関係なく確実にボーナスがもらえます。
なぜならボーナス(期末手当と勤勉手当)を支給することを条例で定めているからです。
民間によっては景気が悪いとボーナスカットがあり得る一方、公務員はカットされることはありません。(前年度と比べ減額されることはあります)
そのため、ボーナスを期待しての大きな支払いも計画的に組むことができます。
向こう数年間のおおよその金額も予想できる
公務員の場合、翌年やその先のボーナスもおおよその金額が予想できます。
なぜなら、ボーナスの構成要素で給料以外の数字はほとんど変わらないからです。
そしてその給料も、次年度の金額は給料表から知ることができるので、問題なくボーナスの計算ができます。
公務員は年に1回、通常は4号給昇級するので、給料表で4号給上の給料を見れば次年度の金額がわかります。
給料表も数年に1回変わりますが、同じ級・号給の金額は数百円程度しか変動しません。
なのでおおよその金額を予想するうえでは給料表の改定まで気にしなくて大丈夫です。
給料以外の要素について、扶養手当と地域手当は数年に1回変わることもありますが、基本は固定と考えて大丈夫です。
支給月数は毎年変動しますが、大きく動いても±0.2か月なので、金額の変動はせいぜい数万円程度です。
そして期間率は普通に勤務すれば100%なので、これも固定と考えていいでしょう。
よって数年間で昇級後の給料を調べて、それ以外の要素は固定で考えれば、おおよそのボーナス金額が予想できます。
景気や成果による影響が小さい
公務員のボーナスは景気や成果による影響が小さいです。
前年度よりも何十万円も増えることもなければ減ることもありません。
景気の影響については先ほどまでに紹介したとおり、支給月数の変動はせいぜい±0.2か月におさまります。
なので不景気のときもカットになったり、50%減といったこともありません。
また、査定による変動への影響も小さいです。(自治体にもよりますが、±0.1か月程度です)
まさに安定型ですが、頑張って査定を上げても金額があまり変わらないのはデメリットとも言えます。
支給日が6/30と12/10
公務員のボーナス支給日は6/30と12/10で決まっています。(土日祝の場合は、その前の平日)
民間と同じ日ではないため、転職する際はローンや積立でボーナス払いをする場合は支払日の設定には注意が必要です。
まとめ
公務員のボーナスの計算方法について紹介しました。以下にまとめます。
・公務員ボーナスは年間でざっくり月給4か月分
・公務員ボーナスは計算できる
ボーナス = 月給(給料+扶養手当+地域手当) ✕ 支給月数 ✕ 在職率
・公務員ボーナスの特徴(民間との違い)は、確実にもらえる、向こう数年間のおおよその金額も予想できるなど。
公務員の募集要項のモデル給料や自治体の給与条例の情報があれば、計算でボーナス金額が予想できます。